第21話:驚きの従魔たち
「……えっと……これ、どういうこと?」
ナイルさんの屋敷から外に出てみると、そこにはミニゴレと同じ姿の小人ゴーレムが三匹、ちょこんと立っていた。
村人たちは俺がミニゴレをテイムしていたことを知っており、だからこそ三匹の小人ゴーレムが村に入ってきたのをスルーしたのだろう。
だけどこの三匹……俺、テイムしてないんだよな~。
「ゴッゴゴー! ゴゴー?」
「「「ゴゴーゴゴゴー!」」」
「ゴゴー? ゴッゴゴー!」
……うん、三匹の小人ゴーレムが何を言っているのかはさっぱりだ。
しかし、ミニゴレの話から推測するに、三匹もテイムしてほしい、みたいなことを言っているっぽい。
「ミニゴレ? 三匹もテイムしていいのか?」
「ゴッゴゴー!」
やっぱりそうらしい。
なんだろう、これで小人ゴーレムが四匹になったこともあり、手の足りない部分がだいぶ助かることになる。
それだけじゃなく、実際に建物を造り上げる時の手伝いにも役立てるし、役割分担を行うこともできる。
「それじゃあ三匹とも、テイムするぞ?」
「「「ゴッゴゴー!」」」
メリットしかない今回のテイムを済ませた俺は、小さく息を吐く。
「ふぅ。……しかし、どうして三匹はここに? ミニゴレを追い掛けてきたのか?」
テイムが終わったので三匹の言いたいことも分かるようになったはずだと、問い掛けてみた。
「「「ゴゴッゴー!」」」
「やっぱりそうなんだ。それで、俺にテイムしてほしいって?」
「「「ゴッゴゴー!」」」
「ゴゴー! ゴゴッゴゴー!」
へぇ、ミニゴレは三匹のお兄さん的な立場なのか。
それで、お兄さんのミニゴレを助けた俺に尽くしたいと思ってくれたらしい。
「ありがとう。これからよろしくな!」
「「「ゴゴー!」」」
「名前はどうしようかな……ゴレキチ、ゴレオ、ゴレミでどうだ?」
「「「ゴッゴゴー!」」」
一気に三匹の名前を決めないといけなくなったので、思いついた感じで聞いてみたんだが……いいんだ。
「よし! それじゃあ四匹になったし、石材班と木材班に分かれた方がいいかもしれないな。ひとまず、コーワンさんに確認してみるか」
というわけで、俺はコーワンさんの屋敷へと向かう。
ルナとミニゴレは行ったり来たりになってしまい申し訳ないな。
「おっ! 来たか、リドル! ……って、増えてねぇか?」
「えっと、そうですね、増えました」
「「「ゴッゴゴー!」」」
ゴレキチ、ゴレオ、ゴレミが手を上げて挨拶をしている。……なんだろう、これはこれで、可愛いな。
「そうなのか? だがまあ、人手は多い方がいいからな! 助かるぜ!」
「その件で伺いました」
コーワンさんも同じことを思ってくれたようで、俺は石材班と木材班に分けた方がいいのではないかという提案を伝えた。
「確かにそうだな。すぐに全員分の家を石材で作ることはできんし、既存の家を木材で補強しつつ、新築できるところから始めていかにゃならん」
「分かりました。それじゃあ、集めた資材はこちらに運ぶでいいですか?」
「いや、最初は村の入口付近に置いてて構わんぞ。こっちまで運ぶ手間の方が勿体ないからな」
コーワンさんの言う通りだな。
実はここ、入口から見ると結構真逆に位置している。
それなら入口に置いておき、あとで運んでいった方が効率的か。
「その手はずで動いていきますね」
「おう! それと、俺たちの手が必要な時は言ってくれ! まあ、護衛がいたらって条件はついちまうが、自分たちの家のことだ、しっかりと働かせてもらうからよ!」
「はい! その時はよろしくお願いします!」
「っと、その前にだ!」
えぇっ!? なんかもう話は終わりみたいな流れじゃなかったっけ?
「ど、どうしたんですか?」
「さっき持ってきてくれた魔獣がいただろう? どうやら肉としても最高級で、素材としても貴重なものなんだとよ! どうする?」
どうする? って言われてもなぁ。
今はルッツさんもいないし、俺がお肉を貰っても腐らせるだけだし、ナイルさんたちに渡したとしても結構な量になるだろうし。
「……ナイルさんに相談して、みんなで分けていただけますか?」
「マジかよ! 最高級の肉だぞ!」
「それを俺が独り占めしちゃったら、腐らせちゃいますからね。だったらみんなで食べた方がいいですよ」
俺がそう伝えると、コーワンさんは満面の笑みとなり、盛大にガッツポーズをしてみせた。
「よっしゃー! 今日は宴だ!」
「いやいや! 宴とは言ってないんですけど!?」
「こんな肉、みんなで食った方がいいに決まってんだろうが! 村長への交渉は任せとけ!」
「だから宴とは言ってないんですってば!」
「腐らせるのが嫌なんだろう?」
うぐっ!? ……それを言われると、何も言えないんですってば!
「各ご家庭で食べたらいいのでは?」
「ただ焼くだけで食っちまう奴もいるぜ? 勿体なくないか?」
「…………はあぁぁ~。分かりました、ナイルさんが許したらですからね?」
「分かってるじゃねえか!」
まったく、この人は。
ただ、英気を養ってもらうという名目であれば、問題はない……のかも?
「それと、素材の方は置いててくれますか? 何かに使えるかもしれないので」
「もちろんだ! それじゃあ……これからもよろしく頼むぜ、リドル!」
ちょっとふざけたおじさん、みたいな雰囲気だったコーワンさんだが、最後の方は真剣な面持ちとなり、俺に手を差し出してきた。
その手はとても逞しくて、大きくて、頼りがいのある手だ。
「……よろしくお願いします!」
「おう!」
コーワンさんの手を握り返し、俺はレオとルナ、ミニゴレたちを引き連れて、再び森の方へ駆け出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます