焦土の蝶

地に倒れた兵士は

土塊つちくれを縫う蟻を目で追う

そのまなざしが優しげなのは

動いているものはすべて

命を宿していると気づいたから


生き残った兵士たちは

どこへ帰っていくのだろう


傷を負った心と体は

いつになったら治るのだろう


耳の奥に残る爆音の余韻が

消えてなくなるのは何年後?


人々の絶望のため息が

よみがえらなくなるのは?


鉄のニオイのする風が

枯草の野を吹き過ぎるばかりでも


蝶よ

いつか帰っておいで


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16817330657863663294


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