中編 後はお任せします

「こちらの部屋で、しばらくお待ちください」

「はい、わかりました」


 連れてこられた部屋は、どうやら兵士の待機所のような場所みたい。兵士の武器とか防具が置いてある。そして、少し男くさいのよね。もちろん、口には出さないわ。何人か、兵士が私を見ているから。


 監視というほどのものじゃないけれど、視線を感じる。私が逃げないように見張っているようね。逃げるつもりなんて少しもないから、大丈夫よ。


 指示された通り、私は座って待つことにする。どうなるかしらね。


 兵士に私を捕まえるように指示したということは、王子は私を処刑とか追放するつもりかしら。罪状は、不貞行為? そうなったら、やっぱり抵抗せずに受け入れるつもり。言っても聞いてもらえないと思うから。


 万が一そんなことになったら、ここに居る人たちが助けてくれそうな気がするけれど。他にも、助けてくれそうな人が何人か。そこまで心配する必要もなさそう。死ぬることはないと思う。思いたい。


 しばらく待っていると、部屋の外から誰かが走ってくる音が聞こえてきた。誰かが来たみたい。王子じゃないと思うけれど。




「こんばんは、大変だったみたいだね」

「はい。ちょっと大変でした」


 部屋に入ってきたのは、顔見知りだった。第二王子。私の婚約相手だった人の弟。何人か引き連れて、私の目の前に座った。テーブルを間に挟んで、向かい合う形。


「話を聞いたけど、兄が滅茶苦茶なことを言ったみたいだね。当事者である君からも、詳しい話を聞かせてほしいんだけど、いいかな?」

「はい、いいですよ」


 どうやら彼は会場には居なかったみたい。先ほどの出来事について、順番に説明していく。といっても、そんなに長い話にはならない。ついさっきの出来事だから、記憶も鮮明だ。


 話を聞く第二王子は、難しい顔をしている。まあ、そうよね。


 そして、一通りの説明が終わった。


「ということで、私は今ここにいます」

「わかった。今回の件については、私に任せてほしい。悪いようにはしないから」


 彼がそう言ってくれるのなら、安心かな。ここに私が居て、彼が居る。これもご縁だから、任せましょう。私が自分で解決しようと動いても、出来ることはなさそうだし。


「そういうことでしたら、後をお願いします」

「うん。君は何も心配せず、家に帰るんだ」

「わかりました。それでは、ごきげんよう」


 ということで、家へ帰ることになった。大変なことが起きたけれど、ちゃんと家に帰れるので大丈夫そう。


 やっぱりご縁に導かれて行動することで、全てうまくいくのよね。

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