IQ120

加賀倉 創作

第0話『知能指数』

【注意】誤解忌避のため、最初に断っておきますが、加賀倉は、『優生思想』の崇拝者ではありません。IQ120の人が社会を作る、などというのは、あくまで俗的な考えであり、明確な根拠はありません。今作で強調したいのは、仮に、そういった前提(IQ120最適知能指数説、とでも言いましょうか、が採用される空想世界)で、構成要員皆がIQ120以上の巨大集団が現れてしまったら、世の中はどうなってしまうのか、IQが低い、とされる人々は彼らに支配されてしまうのか、という、根も葉もないお話です。その点をご留意の上、お楽しみくださいませ。



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 __IQ。


 正式名称は、『Intelligence Quotient』。


 日本語っぽく発音すれば、「インテリジェンス・クォシェント』だろうか。


 和訳すれば、知能指数。


 知能指数とは、基準値を『100』とする、知能の推定値。


 知能指数は、世の中に数多あまた蔓延はびこっている多種多様な『IQテスト』なるものを用いて計測されることがほとんどだが、それら信憑性は定かではない。


 そもそも、知能、という抽象的な能力の高低を、それら曖昧な基準によって、しかも数字という過度に単純化された概念をもって、完璧に表現するのは不可能である。


 よって、『IQテスト』で測ることができるのは、概ねの知能の高さ、くらいに考えるのが良いかもしれない。


 そして、『IQ』には、こんな話がある。


 あくまで俗的な考えなのだが、IQ『120』程度の人が社会的に最も成功しやすい、生きやすいのではないか、と言われることが多いように思われる。


 ちなみに、コミュニケーションを取りやすいのが自身とIQの差が『±20』の人だと言われる。


 その理由は、IQ『120』の人は、平均的な値である、IQ『100』の人とも、いわゆるギフテッドと呼ばれることもある、IQ『140』の人とも会話が成立しやすいからだという。


 それがもし、確かなのであれば、こんなことが起こりうるだろう。


 IQが『120』、およびそれ以上の数値の巨大集団……


 もし、そのような集団があれば、世界を瞬く間に掌握してしまいそうではなかろうか。


 ……。


 ……。


 これから、私加賀倉が行うのは、極めて曖昧な科学に基づき、極度に単純化・理想化された、質の悪い思考実験のようなものである。


〈第1話『遥か彼方の銀河で』へ続く〉

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