likeもloveも好きであることに変わりはない

砂糖鹿目

タイムマシン 上

「こんにちは」


「やぁ、今日も随分疲れてるみたいだね」


「いえ疲れてはいませんよ」


「そう?じゃあなんで疲れているの?」


「いや、だから疲れてないですって、、元々こんな感じなんですよ!いい加減覚えてください!」


部室のドアを開けるとブラウン先輩といつもの会話がはじまった。


「そういえば、部長がいませんね」


「あー、部長なら職員室行ったよ。またなんか実験でもすんじゃないかな?」


そういいながら、椅子に座って本を読みながら足を組み直す先輩に目を奪われてしまうのはいつもの流れだ。

ブラウン先輩は背が高くて足も長い、更に綺麗な黒髪に整った顔を持ってしても目立ってしまう茶色の瞳。

正直完璧と言っていいほどの美人だ。

俺と同じ男だが抽象的な顔立ちと相まって一つ一つの動作が美しく見える。(因みに勘違いしてほしくないから補足するが俺はホモではない)


「結構前に行ったから、そろそろ来ると思うよ」


「こんにちは」


「うわっ!、、って脅かさないでくださいよ」


「そんなつもりないよ、というかベイリーお疲れ様」


「お疲れ様です」


「おい、ブラウン今日は一体なんの本を読んでいるんだ?」


「辞書だよ、面白いから読む?」


「あっ、そういえばさっき先生から新しい部室の使用許可がおりたんだ!」


(なんで聞いてきたんだろう)


「皆んなで行こう!新しい発明品ができたんだ!」


「あれ?使用許可おりたのさっきって言ってませんでした?一体いつそんなの用意したんですか?」


「、、、、、、持ってきたんだよ」


「なんですか今の間!また変なことでもしたんですか!」


「決めつけは良くないよ、ベイリーくん。そもそも最近顧問のウェルズ先生から次変なことしたら停学にするっていわれたばかりじゃないかぁ。さすがに私も気をつけてますよぉ」


「いや、ウェルズ先生はそんなこと言いながら実際今までしたことないから全然説得力がないですよ!」


「あぁ、そういえばウェルズ先生あれ結構ガチらしいですよ」


「え、そうなんですか?、、いや、逆に今までが優し過ぎたと思いますけど。、、、、ってあれ?先輩なんで黙ってるんですか?」


「、、、、、、、、。」


「えっ?、、先輩嘘ですよね???、、えっ」


「ハハハハハ、そんなこともあろうかと今回はしっかり対策してあるのだ!」


「おぉー」


「、、あのー先輩、ということは計画的に変なことをやってきたってことですか?ウェルズ先生に注意されながら」


「ああそうだ」


「バレたら、、俺ら終わりですよ」


「、、、、、、、、、、、、、、、、芸術は爆発だ!!」


「いや!科学だろ!」


レム先輩は走って部室の方へ向かった。

俺とブラウン先輩はそれをゆっくり追うと、体育館の隣にある旧倉庫に辿り着いた。


「というか、色々ありすぎて聞くの忘れてましたけど。なんで新部室なんて用意したんですか?」


「あぁ、そういえば確かに。いつもの部室で充分でしょ」


「まあ、それは中を見ればわかるよ」


ガチャ


レム先輩が旧倉庫のドアを開くと中には大きな機械が底から天井までを導線で張り巡らせていた。


「バカァー!!!」


「おいおい、どうした?」


「どうしたも何もありませんよ!!なんですかこれ!?対策も何もこの旧倉庫のドアを開けたら終わりじゃないですか!?!!停学ですよ!!停学!!!」


「まあ、そんなに興奮しないで、私は偉大な発明をしたのだよ。それにはこの倉庫が必須条件だった、安心しろしっかり対策はしてある」


「心配でしかないので私だけでも逃れるために帰ります。証人は任せましたよブラウン先輩」


「えっ?俺?」


「いやいやいや、少しぐらい信用してくれよ。成功確率99%だぞ!」


「いや、手を離してください。残りの1%はなんです!私は黙って帰りますから!証人は任せましたよブラウン先輩」


「いや、だからなんで俺?まあ、別にいいけど」


「ブラウンくん、今日コンビニで3個に一つだけ酸っぱいのが入っているガムを買ってあげるよ。私に寝返るのなら、、ね?」


「ごめんベイリー君、停学になったら酸っぱい方のガムあげるよ」


「あっさり裏切らないでくださいよ!一緒に帰ってくれればブラウン先輩の証人になりますから!というか食べてみないとわからないガムでどうやってピンポイントに酸っぱいガムを私に渡すんですか!」


「まあ、行きましょ行きましょ」


「嫌ァァァァァ!!!」


そういえばレム先輩が意外と力持ちだということを忘れていた。

俺は抵抗しながらレム先輩に倉庫へ引きずり込まれた。


ガチャ


「ブラウン、懐中電灯持ってない?」


「はいよ」


「ありがとう」


「おい、ベイリー君大丈夫かい?」


「大丈夫ですよ」


「なんか随分落ち着いてるな、さっきまであんなに抵抗していたのに」


「なんかもうどうでもよくなりました。停学になるときは一緒ですからね?」


「ちょっと暗い中そう言われると怖いもんだ」


「そういえば懐中電灯持っててつけないんですか?というかそもそもブラウン先輩がなんで懐中電灯を持ち歩いているんですか?スマホあれば充分なのに」


「あれ?もしかして電池入ってなかった?」


「無視しないでくださいよぉ」


「いや、重さ的に電池は大丈夫だ。実は今回の発明品は光で稼働するようになっているんだ」


「光コンピュータってことですか?それなら別に電気つけたって問題ないじゃないですか?」


「いや、光コンピュータと言っても普通とは違くて本当に根本的に光を媒体としたコンピュータなんだ。つまりこれに電気は一切使っていない」


「どういうことだ?別に光コンピュータもそうじゃなかったっけ?」


「いや、これは光を反射する鏡とか水とかを組み合わせて反射という現象のみでコンピュータと同じ機能を作ったんだ。つまり(外から少し光を入れるぐらいだったら問題ないが)懐中電灯のような強い光をつけた瞬間稼働するようになっている」


「へぇ、じゃあ外から見えた導線とかはなんだったんですか?」


「なんとなく場所が余ったから置いた飾りだよ」


「いや、飾りかい!」


「飾りは大事だぞ、バック○トゥ○ザ○ヒューチャーのデ◻︎リアンだって見た目がカッコいいから有名なタイムマシンになったんだろ」

(○と◻︎の意味)



「別に公表する気はないんじゃないのか?」


「まあ、そうだけど」


「じゃあ、つまり先輩は本当の意味で光だけで動くコンピュータを開発したってことですか?」


「いや、それは単にコンピュータの性能を上げるための手段に過ぎない。これはさっき例えで出ていた通りタイムマシンだ」


「えっ!?タイムマシン!すごいじゃないですか!一体どんな感じの構造になっているんですか!?」


「それをまず説明するにはタイムトラベルの不可能性を説明しないといけない」


「「え?」」

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