ふたりでSFの設定を話すだけ

飛鳥たぐい

第1話「その日の科学技術は魔法と区別がつかない話する?」

(しようしよう!)


「特定の科学技術を特定の人しか使えないようにしたら、それって、魔法みたくならない?」


(どゆこと?)


「魔法の属性みたいにさ、炎系しか使えない人とか氷系しか使えない人とか。そもそも魔法使える人と使えない人とか。そんな感じに科学技術もしてみるの」


(へー、面白そうだな。どうやる?)


「なんかIDみたいなものが欲しいよね。IDの下4桁が1582の人は炎系使えるとか」


(本能寺の変じゃねーか)


「ともかくさ、何かを読み取って、この人は何系だって判断する機能が技術側にあるんだよ」


(あー、指紋とか網膜とかスキャンして個人を特定するみたいに?)


「そうそう。でもさ、個人じゃなくてもいいわけ。炎系だってことがわかればいいから複数人が同じものを持ってるほうが都合いいよ。さっきの下4桁みたいに。強さとか範囲とかは、また別の箇所で読み取る感じで。上4桁とか」


(えー? そんなのある? マイナンバーみたいな感じ?)


「それでね。僕思いついちゃったんだよ」


(思いついちゃったかー)


「DNAの塩基配列ってあるじゃん?」


(あるじゃん、とか言われても。特定の知識を全員が知ってると思うなよな。漫画好きでも『ジョジョ』を知らない人間はいるんだからな)


「まあまあまあまあ、DNAって遺伝情報を持っているとされていて、特定の領域を見ることによって、その人の身体のことがわかったりするわけ。この病気に罹りやすい、とかね」


(なんか聞いたことあるかも)


「全部の領域が何に関係しているのかわかっているわけじゃないけどね」


(ふーん、それで?)


「話を戻すと、DNAの塩基配列は、『G・C・T・A』の4種類の塩基で一次元的に記述することができるんだよ。だから、ある部分の塩基配列を、魔法属性だと決めちゃえばいい」


(決められるの? どうやって?)


「プログラムでif文でも書けば?」


(何言ってんだ?)


「とにかく、読み取る側が決めるんだよ、『あ、こいつ炎系だ』って。そしたら炎がドバーッて出るの」


(何から?)


「水鉄砲みたいなやつにしようか?」


(鉄砲みたいなやつ、で良くない?)


「うるさいな〜。つまりは、そういう機械があって、そこで魔法発動すんの。少しずつ機械っぽく見えないようにすれば良いんだよ。最終的に魔法陣みたいになんの」


(へー)


「あとは簡単にDNAの塩基配列を読めるようにすればOK」


(どうやって?)


「その辺は、未来の科学技術がドバーッとですよ」


(効果音それしか持ってないん?)


「で、魔法学校があるの」


(ん????)


「魔法学校で魔法勉強するの。発動の仕方とか使い方とか、自分の属性とか」


(何の話?)


「魔法学校には、魔法が使える子が通うんだよ。特定の塩基配列を持つ子供ね」


(ファンタジーかSFかわからんなそれ)


「んでね、その時代にはもうDNAを書き換える技術が人間に使われてるから、お金を払って書き換えられた子供も通ってるの」


(急に闇が深い)


「生徒の方もね、生まれた頃からのDNAで通っている方を『純配列』、書き換えられた方を『混配列』って呼んだりして、差別したりいじめたりしてるの」


(怖い話しないで)


「ある日、転校生がやってきて」


(こらこら)


「その転校生はいわゆる『純配列』ね。で、転校してきて『混配列』の子が酷いいじめに合っているのを見ちゃうんだ。持ち物を燃やされたり、暴力を受けたり」


(うわぁ……)


「転校生はその子を助けるんだよ。ところで、混配列の子は、魔法学校を卒業してもエリートコースには行けないっていう設定なんだけど」


(設定とか言い出した)


「転校生は『純配列』で首席とるくらい優秀な子だから、めっちゃエリート」


(すごいな)


「まあだから、勇者になって世界を救うよね」


(救う…かしら……?)


「いじめられてた混配列の子は、学生のときにそれに気付いてるわけ。『ああ、彼はきっと……』みたいな感じに。だから転校生の純配列の子に忠誠を誓うの。『何かあったときには私の命を捧げます』って」


(はい)


「そういう尊いBL読みたいので誰か書いてください」

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