第1話 使えない能力。
闇が 濃くなって来た気がする。
ここ最近 光の存在も ほぼ見かけなくなった。
何が 起こっているのか。
真一には 何も わからないけれど ただ 出来ることは そこら中に 蔓延っている
真一が
もちろん 誰かに話して わかって欲しい気持ちは あった。
でも 人に話そうとすると
それが 余計に 恐怖を 掻き立てられ 真一は 口を 噤むしかなかった。
逆に 守護霊 眷属 精霊 妖精 天使など 人間を助けてくれるものは
視えない存在は
陰と陽 月と太陽 表と裏 プラスとマイナスのような対極の存在。
神様は 真一には 手の届かない
真一が 憶えているのは 物心が付いた時から もう普通に
でも 他の誰にも それは 視えていないようだった。
なぜ 自分にだけ 視えているのか 不思議だった。
自分の感情を出すと「変わった子」と言うレッテルを 貼られた。
だから 真一は 全ての感情を押し殺し 隠すしかなかった。
大きくなって行くにつれ だんだん 自分に害をなす者と 助けてくれる者が いることに わかった。
真一に 害をなす者は
その区別が 付くようになったのは 小学生の高学年に なった頃だった。
中学校では ひたすら気配を消して 誰とも会話をせず いつも1人でいた。
小学生の真一を知っている同級生は「変わったやつ」と からかって来たが 細身でも すでに身長が 170cm超えていた真一が 一睨みすれば 事は 済んだ。
おかげで「もっと変わったやつ」と言うレッテルを 貼られて 声をかけられることも 無くなった。
真一的には そっちの方が 気が楽だった。
中学生の真一の居場所は 神社だった。学校帰りに 毎日 神社に寄っていた。
神社には 滅多に
逆に 神社には 精霊の
真一にとって
その頃に
幼い頃は 光の存在と認識は していたものが 中学生になり
あまりに神々しく 眩し過ぎて 表情や服装を はっきりと読み視ることは 出来なかった。
神様に話しかけることも 恐れ多くて 真一から 話しかけることも なかった。
かと言って 真一を無下に扱うのではなく 真一が 過ごしていた神社では むしろ歓迎されているような気が していた。
光の存在が 神だとわかった時 少し気恥ずかしくて「これが 神様なんだ。」と 少し嬉しかった。
真一は 神が 八百万の神と呼ばれている理由も わかったような気がした。
全ての神社では ないけれど 所々の神社で 神様を見かけるようになり 神様と言う存在が 1人ではないことに 気付いた。
真一が 見ている限り 神様は いつも 見守っていると言うよりは 人間のする行動を 見ていると言った方が 正解かもしれない。
余程のことが無ければ 神様が 人間界に 介入して来ることは無いと 真一は 感じていた。
今年から 高校に通うようになった真一も 敢えて 神様に 関わらないようにしている。
神様は 真一が 存在に気が付いていることも わかっている。たまに 目が合う神様も いるからだ。
その時は 真一は 誰にも 気付かれないぐらいの小さな会釈をする。
神様は まるで「わかっている。」とでも言うように ゆっくりと 小さく頷く。
そんな関係性で お互い過ごして来た。
今でも 学校帰りは 何箇所かある お気に入りの神社で 過ごす。
仲の良い
真一も そんな
真一は 神社の隅に置いてある 古びたベンチに腰掛けると 精霊の
「最近 神様 来ていらっしゃるか?どこの神社も 居なくなって来ている気が するんだけど…。」
「やっぱりそうか。俺も わからないよ。最近 見かけないから 聞いたんだ。」真一は 考え込んだ。
「大丈夫かな?」「神様 まだ寝てるのかな?」「何か 起こるのかな?」「神様 どこ行っちゃったんだろう?」「心配だよ。」
なぜ 光の存在である神様が 居なくなって来ているのか。
真一にも
「私達の力だけじゃ ここを守れない。」
「
「どうしよう?真ちゃん。」
真一は みんなの思いを聞きながら どうするべきか 自分に 何が出来るのか 辺りが 暗くなるまで 悩んでいた。
街頭が照らす道を 真一は(神社で 考え込み過ぎてしまった。早く帰らないと ばっちゃんに心配をかけてしまう)と足早に 帰路に着いた。
街には 日に日に 濃さを増して 増えて行く
真一は ひたすら無視をするしかなかった。
こちらが 視えていると気付くと 付いて来たり 害をなす
真一にとって
経験上
でも
高校生になった真一は 身長も 180cmは超えた。
時々 身体の節々が痛むから まだ身長が 伸びているように思えた。
黒髪のベリーショートな髪型は ワックスを付けなくても トップが 生え癖で ツンツン立っていて 面倒くさがりな真一には 朝 寝癖になっている部分に 寝癖スプレーでもかければ 直るので 中学生から ずっとこの髪型にしている。
行きつけの床屋でも「いつもので いいかい?」と 床屋の主人に 言われるレベルだ。
目は 大きくても キリッとした奥二重なので 真一の性格も相まって 近寄りがたく 人を寄せ付けない顔付きをしている。
身体つきは ほぼ大人になっているものの 心の中は 幼い頃「変わった子」と レッテルを貼られたまま 時が 止まっているのだろう。
友達と呼べるような存在すら いたこともない。
真一にとっての友達は
幼い頃に 家族を亡くした真一を 祖母であるばっちゃんが 引き取って育ててくれた。
真一が 信じられるのは ばっちゃんと仲の良い
真一が 小さな頃は どの
両親が 亡くなった後は 自分を引き取ってくれたばっちゃんに 心配をかけたくなくて 余計に話せなくなった。
真一は 小学生で 人に 理解してもらうことを 諦めた。
話しても わかってもらえないなら 煩わしい人間関係を無くす方が 楽だった。
真一は 元々 そんなにお喋りなタイプでも無かったから ずっと無口なままで 過ごしていた。
高校生になった今 話しかけられることも ほぼ無くなった。
真一は これで 良いんだと ずっと自分に 言い聞かせて来た。
自分のことを理解してくれる人が 側に居れば それでいい。
けれど 今 自分の大切な友達である
この時ほど 相談出来る友達が いないことを 真一が 悔やんだことはない。
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