異世界でハーレム作って奴隷解放

のらしろ

第1話 ヘタレは異世界へGO!

 「くそ~。

 今日もあいつの尻拭いで残業か。

 は~~~。

 今日も徹夜かな」


 俺の名前は瓶田へいた  れい

 明日になれば、いや。あと10分もしないで晴れて30才になる。

 これで俺も立派な魔法使いの仲間入りだ。


 ~~~~

 そう、主人公のレイはいわゆる年齢イコールという奴で、あと10分もすれば無事に誕生日を迎え魔法使いになれると言う訳だ。

 その彼だが、誕生日の前日だと言うのに、ブラック職場にありがちなことだが、今も職場で残業中。

 時刻は深夜に近い午後11時50分。

 ちょうど区切りがついて、一服を入れるためにコーヒーを飲み始めたところだ。

 ~~~~


 「だいたい、この仕事量は何だよ。

 あいつ主任のヘマが原因なのに、何で俺だけが仕事をしていないといけないんだ。

 しかも、締切りが明日朝一番って、なんだよ。

 それならあいつも、いや、あいつだけでなく全員でやるべきだろうに」


 ブツブツ……


 一度口から出た不平不満は留まるところを知らない。

 あいつ糞野郎の主任もあいつだ。

 俺に仕事を押し付けておいて、自分は飲みに行くとは何だ。

 しかも職場の女性を三人も連れて……

 ブタ子さん(仮称)もゴリラ子(仮称)さんもカバ子(仮称)さんも酷い。

 (かなりレイの悪意が籠った表現をしているが、それでもまだ年が若く職場の花と言われている。

   ……が彼女たちの器量の方は推して知るべし)

 手伝うそぶりを全く見せずに、あんな奴にひょいひょいとついて行くなんて。

 絶対あいつのことだ。

 今頃は、誰かしらお持ち帰りにしているだろう。

 ひょっとしたら三人全部お持ち帰りとか。

 ありえない話じゃないが。

 え~~い、みんな食われてしまえ………


 あれ、目の前が真っ暗に。

 最近働き過ぎだったし、疲れがたまっているのかな。

 え、どうしたんだ………

 ……

  ……

   ……

 チュンチュン。

 小鳥のさえずりの中、目を覚ます。

 ちょうど木漏れ日が顔を照らして、本当に久しぶりに気持ちよく目を覚ますことができた。


 え、なんだ。

 ここは……

 確か俺は事務所で朝一番提出の仕事をしていたはずだが。

 絶対に目の前の景色は事務所の中じゃ無いよな。

 バーチャルっていう線も捨てがたいが自宅じゃあるまいし、会社にそんなものを体験できる機材など持ち込めるわけないだろう。


 どう見てもバーチャルなんかじゃ無く現実だよな。

 ……

  ……

   ……

 信じたくはないが、ひょっとしてあれか。

 これ、あれなのか。

 俺も嫌いじゃないから知らない訳じゃないが、これって転生いや、転移と言った方が良いのか。

 どちらにしてもいわゆるファンタジーの世界だよな。

 俺もそんなのに巻き込まれたとか。

 いや、無い無い。

 だが……


 『過労死』


 突然この言葉が脳裏をかすめた。

 いや、だが思い当たる節が無いどころか今までなかった方が不思議のような生活をしてきたのだから、もうそれしか考えられない。

 だが、そんな……

 しかし、ひとまず転生いや転移を受け入れるとして、あれが無いだろう、あれが。

 こういう場合、女神さまからのイベント、いわゆる加護やらスキルというような奴を貰うと言うイベントがあるだろう。

 何も無いのにいきなり転移とか、無理だろう。

 ムリゲー過ぎる。


 「神さま、女神様どちらか聞いていますか。

 私は、まだもらっていませんが、もしやお忘れでは……」


 「…………」


 「ひょっとして聞いていませんか」


 「………」


 「お忘れですよ。

 あなたが転移させた勇者様が、困っていますよ」


 「………」


 え、聞いていない。

 いや、本当にいるのかも疑問の残る所だ。

 ひとまず落ち着いてだ、こういう場合に生き残ることを考えないと、せっかくもう一度チャンスを頂いたわけだし。

 チャンスだよな。

 懲罰っていうものじゃないよな。

 そもそも、俺の生きた30年間で神さまや女神さまから懲罰を貰うようなことした覚えは無いし。

 まあ、褒められるような善行を積んできたとは口が裂けても言い難いが、それでもだ。

 そもそもヘタレのレイと言われたこの俺がだ、大それたことなど出来る筈の無い小市民だと言うことは誰でも知る所だし、当然、俺をここに連れて来た神さま??女神様??も知っていてしかるべきことだ。

 となると、俺が知らないうちにそう言ったイベントが済んでしまったとか。

 となると、やる事は一つだ。


 自分のステータスの確認だ。


 こういう場面で言うセリフがあるのはお約束だし、ひとまず呼吸を整えてからやるか。


 「ステータス~~~」

 ………

 何もでない。

 と言うか、こうなると非常に恥ずかしいものがある。

 俺は周りを見渡して、今俺の黒歴史に記録されるような行為を、誰にも見られていないことを確認して、安心した。

 俺の連れて来られた世界って、本当にファンタジーなのか。

 正直、疑問を感じてきた。


 何も知らない世界で、しかも魔法もスキルも全く使えないとか、もはや神罰以外に無いだろう。

 こんなのムリゲーだ。


 落ち着け、俺。


 まずは落ち着いて状況を整理することから始める。


 もう、あれから気を失ってから少なくとも10分以上は経過しているから、俺は無事?に誕生日を迎え、晴れて魔法使いになったはずだ。

 なら、仮にこの世界に誰も魔法がいなくとも俺には魔法が使える筈だ。

 いや、使えなければならない。

 だって俺は苦労して魔法使いの仲間入りしたのだからな。

 いや、したのは苦労では無く我慢と諦めか。

 それでも条件は揃えたのだ。

 今更あれは『間違えです』なんか言われたくない。

 だから誰が何と言おうとも、俺は魔法使いだ。

 しかし、ステータスが見えないと使える魔法が分からない。

 もしかしたら、ステータスでは無くて、メニューだったとか。

 まあ、直ぐに何かをしなければならない訳では無いからいろいろと試してみよう。

 「メニュー」

 ………

 全く反応が無い。

 「目次……、状況確認……、え~~い、くそ~~」

 全く反応が無い。

 ………

 そういえば、こんな場面の漫画もあったな。

 あの時の主人公は、そうだ、管理者権限だとか言っていたな。

 「アドミニストレータ……、管理者権限……」

 う~~~む、ダメだ。

 とりあえず自分のステータスが見えないな。

 なら、いろんな魔法でも試してみるか。

 「ファイヤーボール……、ウォーターボール……、ウインドカッター……、ライト……」

 くそ~、どれもダメだ。

 本当にこの世界には魔法が無いのか。

 となると、俺は急に不安に駆られる。

 この際、魔法が使えるかの検証は後にして、俺自身が生き残ることを考えないといけない。

 となると、急いでサバイバルを考えないとまずいな。

 とにかく人里を探そう。

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