(二)-12

 そんなことを考えていると、藤並さんはずんずん廊下を進んで行き、奥のリビングの方へ入って行った。

「俺らも行くぞ」

 松阪は有井にそう声をかけて、靴を脱いで玄関を上がった。

 有井も慌てて同じように廊下に上がった。

 想像していたとはいえ、玄関先では感じなかった匂いを、廊下に一歩踏み込んだ時点で察知することができた。作業用の防塵マスクではホコリなどは防げるが、匂いまでは防げない。マスク越しにもかかわらず、強い匂いが嗅覚を刺激しているのがわかった。


(続く)

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