復讐へ
俺は
今、日本には全部で約500箇所のシェルターが存在し、人々はそこでの生活を強いられていた。シェルターと言ってもなにか防空壕みたいな地下にあるものではなく、単なる避難場所のようなもので外出も少しは許可されている。人々は狭い限られた土地での農業を中心として生活をしており、サービス業などの娯楽は殆どなくなった。
しかし演劇をしたり、また、数は少ないが残っている電子機器を用いて、手回し発電によって得た電力でのゲームなどをしたりしている。ある意味悲劇の日の前よりも充実したエコな生活を送っていた。
そして今日、1月1日、俺は18歳の誕生日をむかえ、成人した。成人をすると一人でのシェルターからの外出を許可され、より自由に活動することができるようになる。
だから俺はこれから母を殺した『覚醒者』と呼ばれている仏像を殺しに行く。
あの日からの10年間、俺はずっと母を殺したあの仏像の原因について調べていた。警察や自衛隊、また世界各国の軍隊は当時、UFOだとかなんとか言っていたが結局世界政府の崩壊により検査などをすることができなくなり、結局未知の災害として受け入れることとした。
だが俺は一人で調べていくうちに中学2年のときに一冊の巻物を見つけた。それはたまたま伊勢神宮に遠足に行ったときだった。ギリギリ伊勢神宮の周辺は被害に遭っていなく(建物などは壊れていたが。)気晴らしにという名目で遠足として行ったときだ。
みんなで参拝したあと、俺は壊れかけた賽銭箱の下になにかが入っているのに気がついた。それがその巻物だった。なにか不思議な力が込められているよで俺はそれに惹きつけられ、気がつけばそれを隠し持っていた。シェルターへと帰り、自分用のスペースで周りの誰にも見られないようにそれを開いてみた。そこにはとんでもない秘密が隠されていた。ここにはその文章を中2の俺の拙い古文の知識を使って要約したものだ。
平安時代になってすぐ、西暦800年 延暦19年。桓武天皇のとき、行曹ぎょうそうという僧がいた。行曹は当時では新しい考え、極楽浄土という考えを取り入れた人物で世界中(この時代で知られていた範囲なのでまだ狭いが)の人々を全員極楽浄土へと送ろうと考え、仏像に『覚醒者』(力を与えられし者)としての意思をもたせ人類を滅亡させようとした。そしてその3月に富士山を噴火させた。
まだ仏教は力こそ強大であったがまだ現代ほどに洗練されていなかったため(鎌倉時代で一気に力をつける。)富士山の噴火までしか行うことができなかった。その時、仏教のやってはいけないことの一つ。殺傷を行なったとして、日本中の僧によって今で言う渋谷のスクランブル交差点に封印された。そこは武蔵国とよばれ、代々封印を守られていた。
時は流れ、同じ平安時代。西暦1024年、萬壽元年。後一条天皇のとき、
藤原道長はその行曹の考えとしての極楽浄土を取り入れ、浄土信仰を行った。
その時、『覚醒者』によって人々を極楽とは反対の地獄へ送る大罪人として攻撃された
と、記されていた。それを読んだ俺はこの悲惨な日の正体がわかり、母の仇を取れると思った。そしてここに記されている。『鬼神』の封印を解き、協力をすることであの忌々しい『覚醒者』を殺せるのではないかと考えた。また世界中に現れた神々の像の中には『神』(日本の神道にである天照大御神などの像)がないとわかったのももしかしたらその神々が協力してくれるかもしれないという一つの希望へとつながった。
そして、今日。俺は京都の羅生門へ向かう。周りの大人にはなにも言っていない。
ただ
「成人したし、外を一人で歩いてくるよ」
といい、皆に別れをした。もちろん、あの巻物と武器庫でくすねた護身用のナイフと缶詰などの食料。ペットボトルに入った水、マッチ、手回し発電機、ネットは繋がらないが使える希少なスマホ。あとは非常用具みたいなものをリュックに詰め込んで京都へと向かった。
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