無双

 自分の前で倒れている陰陽師。

 

「……う、うぅん」


「ようやく起きたか、ぼんくらめ」


 それを起こすのに少しばかり苦戦した僕は悪態をつきながら陰陽師に向き直る。


「おい!お前はちょっとこの隣にいる少女を守っている」


「……な、何を言って……ッ!?お、お前は呪無し!」


「うるせぇ。お前の隣にいる少女はただの一般人だ。それを守るのがお前の職務だろう。護衛は任せた。ちょっくら、僕は向こうの方を片付けてくるから」


「は、はぁっ!?」


 訳もわからず困惑している様子の陰陽師へと一方的に言葉を叩きつけ終えた後の僕は大量にいる怪魔たちの方に視線を向ける。


「フラワー、ちょっと待ってて。助けてくるから」


 そして、僕はその場を蹴って疾走を開始。

 怪魔の方へと真っすぐに向かっていく。


「カカカ、愚カナ人間ヨ……今更、抵抗シタトコロデ無意味ダ」


「愚かなのはお前な?」


 そして、得意げな様子で人間の言葉を話していた怪魔、この場で最も強く、巨大な怪魔の方へとやってきた僕は口を開きながら足を彼の頭の上に乗せる。


「ナッ───」


「せいっ!」


 そして、そのまま僕は全力で拳を握り、そのまま振り下ろし、更に加速。

 一瞬で怪魔の頭から地面へと突っ切ってみせる。

 

「───ァ」


「ちっ。仕方ないことだが、もう血まみれだ」

 

 返り血を大いに浴びながら巨大な怪魔の中心を強引にぶち抜くで、あっさりと祓って見せた僕はぶさくさと文句を言いながらも次の標的を定める。


「おっと」


 だが、僕が次の標的を見つけて動き出すよりも、自分の元に怪魔たちが殺到してくる方が早かった。


「ぬるい」


 僕はそんな怪魔たちを効率的に、順番に、サクサクと倒していく。

 拳で。

 蹴りで。

 頭突きで。

 膝蹴りで。

 手刀で。

 そのすべてを一撃のもとで敵を倒しきって見せる。


「まぁ、さほど苦戦はしないか」


 そんな感じで怪魔を倒し続けていけば、もうすぐに一つの大きな怪魔たちの死骸の山を作り上げていた。


「さて、と。どんどん行くぞ」


 圧倒的な力によって怪魔たちを倒し続け、ついにはまともな知性もない怪魔たちが本能的な恐怖を覚えるようになってこちらへと突撃しなくなってきた頃。

 僕はそれでも一切止まる気なく、悠然と歩を進めるのだった。

 次は、こちらから行く番だ。

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