第3話ー10.5 闇に紛れて
静寂を取り戻した元鉱山の町に動く影が――2つ。
「まさか依頼主のアンタが直接出向くとは」
「不測の事態が起こったようなので。でも良かった。僕の欲しいモノはまだ残っているようだ」
クイーンマインの残骸へとやってきた影は――フードを深く被った青年だった。胸元に蛇のアクセサリーを覗かせながら、当たりを見渡す。
「目的のモノは既に回収してある」
頭領は布に包まれたソレを取り出す。
ソレは黒い珠のようだが、内部でエレメントが脈を打っている。
「ありがとうございます。肉体の方も少し使うので、運んでくれますか」
「御意――」
「ではこれが今回の報酬です」
「こんなにも……少し多いようですが」
「えぇ。次も依頼を頼みたいので、それは前払いです――よろしく頼みますよ」
フードの奥から覗く瞳と目が合い――頭領は思わず頭を垂れていた。
「は、はい……」
「ふふっ、ふふふふ――」
青年は不気味に笑い、頭を下げたまま動けなかった。
「後には引けない、か」
頭領のその独り言さえも、闇に溶けていくのであった――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます