第3話ー5.5 その頃の地上では
「早ければそろそろ始めた所じゃろうな」
「テッカンさん。みんなに持たせたあの荷物ってなんですか?」
「アレはかつて、儂らが100年ほど前に外国で鉱山喰いを狩っていた時にやっていた狩猟の為の道具じゃ」
「ボクには釣り竿を大きくしたものにしか見えませんでしたが」
「そうじゃ。アレは釣り竿――筋力と繊細な魔力コントロールが要求される職人用の修行道具でもある。あのロープの先にエサとなる上質な魔鉱石などを付けるんじゃ。奴らは目が退化してるので魔力に敏感に反応する。さらに土の中でも鉱石の匂い――らしきものを探知出来るらしい。撒き餌としてエサの周囲に一瞬だけ強力な光源魔法を炸裂させる。まぁこれは魔力使った信号弾を使うんだが」
「そうすると?」
「魔力に反応し目が覚め、さらにエサの存在に奴らが気が付けば……エサ目掛けて飛んでくるって寸法よ」
「なるほどでゴザルか」
「そのような方法であの化け物を誘き寄せられるとは――我も勉強になった也」
「そうじゃろそうじゃろ――うん?」
テッカンの両隣には、黒装束の男女が立っていた。
周りを見渡すと、ここで待機していた職人達は皆、地面に倒れていた。
「なッ!」
「おっと動くなでゴザル。貴方には人質になって貰うでゴザル」
「抵抗は無駄也。この者達の命は某の手の中にあるゆえ」
「なんだ爺さん抵抗しねーのかよ」
他の黒装束とは違い、その衣装は青で統一されていた。さらに顔も露出させており、その特徴的な灰色髪の青年は犬歯を剥き出しにしながら笑う。
「まぁ俺様も無用な殺生はしたくないし、面倒も無くて助かるっちゃ助かるけどよぉ」
「頭領、奴らは5班に別れ、別々に坑道へ入った様子でゴザル」
「ふむ――5班か。お前らは1人ずつ後を追え。もし奴らが狩りを始めたら見守れ。それまでは待機と追跡していろ。俺様と……お前はここに残れ」
「「「「「御意」」」」」
「……御意」
「お、お前らは何が目的だ」
「目的だ? そんなもんは決まってる――俺様の、成り上がりだ。カッカッカッ」
男は高らかに笑い、それと同時に5人の黒装束達は各班の後を追うのであった。
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