第31話
乳首がじんじんと熱くなって尖ってくると、口づけが終わり、乳房を持ち上げられて、吸われた。意図せず甲高い甘えた声が出た。さっき弄られた陰核がずくずくと疼く。
「シャワー……」
茉莉はかろうじて呟く。フッと吹き出した声だけで、乳首から頭まで痺れた。
上瀧はさっさと全裸になり、茉莉のタンクトップも脱がせる。茉莉はよろよろと脱力しかけた足で浴室に入り、温度調節のために蛇口を二つ捻る。膝をついて浴槽の縁に腕をかけて、シャワーのお湯を流しながら温度を確かめる。
「ッ!? ちょっと、上瀧さん?」
背後から手が回ってきた。指が、秘裂を探る。
「なんや?」
耳もとを低い声がかすめる。
「なんややないって! ひァッ……! や、なん、これ、……なんこれ……、やだ、やぁっ……!!」
乳首と陰核を弄られ、小刻みに声が漏れる。シャワーは熱くなったり冷たくなったりしながら、ようやくいい温度になってきた頃、茉莉は初めての絶頂を味わわされた。頭が真っ白になって声が声にならない。力が抜けてお湯の勢いでシャワーヘッドが暴れ、びしょびしょになった。
「ばかぁ……」
へろへろになりながら上瀧に悪態をつくと、鼻で笑われ、シャワーを取られた。
上瀧はざっと自分の身体と茉莉の体を流すと、茉莉の腰を掴み、先端を秘裂にあてがった。溢れた愛液を擦りつけながら上下に揺らす。
「……ぁ……」
入口をとらえ、ゆっくりと押し進める。が、慣れた女とは違い、なかなか進まない。小さな動きで進めたり引っ込めたりしながら、どうにか雁首まで埋め込んだ。狭く窮屈だが温くぬかるんでいる。いつもなら絶対に着ける避妊具の事が頭に過ぎる。が、中断してまたあの情緒もクソもない声や態度に戻られても、と迷う。が、結局、病気云々より、出来てしまった子供の行く末が真っ黒なものしか浮かばず、そのまま続行するのをやめた。
止めるのかと不服そうに言われ、そうだと答えた。
「子供ができても責任取れんからな」
「私だって育ち上がった男の世話なんかしたくないけど、好きな男(ひと)の子供ならいいな。すぐおらんごとならんやろうし」
「お前の夢物語で産まれてくる子供の苦労も考えれ」
「へへっ。上瀧さんと二人でおるより幸せになれそうやけどなあ」
「まあそらそうやな」
茉莉が笑いながら甘えるように首に腕を巻つけて胸にすり寄ってくる。
「上瀧さんは、親、嫌い? 恨んだりしとらん?」
「嫌ったり恨んだりするほど、俺ぁ、親の人となりを知らん。記憶もほとんどない」
「生まれてきたことを悔やんだりとかは?」
「クソみたいな人生やとは思うけど、まあそんなもんやろ」
「死ぬことは? 怖い?」
「今、ここまで生きとるのも不思議やけど、まあ、誰だってそのうち死ぬやんか」
「じゃあ、私に上瀧さんとの子供ちょうだい」
「なんや突拍子もない。その場の気分で言うことやないぞ」
「心配性やねえ。本来の目的を実行するだけやん」
試すような目で上瀧を覗きこみながら、茉莉が笑う。生意気で挑発的にも見える。しかし、その目は爛々と輝いている。好奇心と期待で満ちている。本能的に望んでいるのが伝わってくる。
「子供なら、他の男と作れ」
「嫌だ。他の男との子供ならいらん。上瀧さんの子供が欲しい。ちゃんと定職に就いとるし、貯金もまあまああるもん」
「俺との子供なんか欲しがってお前は恨まれる親になりたいんか?」
「私、自分と上瀧さんの子供なら可愛いと思う。上瀧さんは私の事好きでもなんでもないやろ。でも私、上瀧さんより欲しい人、出来ん気がする。やけん、おらんくなってもいいようになんか残してよ。男が女になんか残すのって、なんにも代え難い貴重な証って、それだけやろ? まあ、そんなすぐできるもんでもなさそうやけど」
マットレスに仰向けになった茉莉の右の膝裏を持ち上げ、少し拡げさせ、唾液で濡らした自分の陰茎を軽く持って肉裂に押し当て、一気に押し込んだ。茉莉の小さな悲鳴が聞こえた。
「遠慮なしのサイズなんやけん本体が遠慮してよぅ……!」
「遠慮しよったらいつまでも入れられん」
狭く圧迫してくる濡れた肉の感触を確かめながらゆっくりと動く。
「上瀧さん、口が寂しい。キスして」
痛いのか、少し目を細めて、甘い声でいう。口づけで密着した分深く繋がり、柔らかな体が痛みで強ばる。苦しげな呻き声が唇から漏れる。舌を絡ませながら、律動を続けると、少しずつ強ばりが解けてきた。膝と爪先で体を支えつつ腰を揺らし、乳房を掴み、やわやわと揉みながら乳首をつまみ捏ね回す。狭すぎるせいかびったりと吸いついてくるようだ。腰を揺らすと肉襞が蠢く。
「痛いか?」
「……痛い、あと、お腹苦しい……」
「やめるか」
ずるりと陰茎を引き抜くと、ぬらぬらと赤く濡れていた。
「裂けたか?」
「わからん。……お腹痛い……。デカすぎやない? それ」
と横目で見てくる。
「お前がまだ慣れとらんだけやろ」
上瀧は立ち上がり、脱ぎ散らかした上着から煙草を見つけて、コンロから直接火をつけた。洗面台で陰茎の体液と血液を濯ぎ、傍らに置いてあったタオルで拭う。台所に戻り、シンクに腰をもたれて、茉莉を見ると、ベッドマットの上で横座りになり、下腹に手を当てている。
「痛むや?」
「少し」
ゆっくり煙草を灰にし、水で濡らして消した。そのままになっていた西瓜の切れ端を食い、喉を湿した。茉莉も立ち上がり、よろよろと近づいてくる。腹に腕を巻つけてぎゅうと顔と体を押し付けてきた。
西瓜の切れ端を茉莉の口元に持っていくと、ガブッと食いつき、二三度咀嚼してゴクッと飲みこんだ。
「リベンジしよう」
「まだやるとや?」
「まだって、始まったばっかやろ!」
と、顔を両手で挟んで近づける。じっと覗き込んでくる子鹿のような黒目は、よく見ると焦げ茶色だ。
「ちょっと慣れてきた」
「何が」
「好きな人と至近距離って緊張するとよ」
「お前がそんなタマか」
「私も初めて知った」
小さな唇がぶつかってきた。角度を変えて啄むような拙いキスにむず痒くなる。下唇に甘く噛みつき、唇を開こうとしてくるので舌で応えて口づけた。茉莉の手が陰茎を撫でる。上瀧も茉莉の両足の奥の溝に沿って指を沈め、クリトリスを探り当てて指先で小刻みに撫で回した。茉莉の腰がぴくぴくと浮く。奥からぬるぬると粘液が染み出してきた。指を中に入れて、音が立つように動かした。
「すごいね……、グチュグチュ聞こえる……」
茉莉がキスをやめ、笑って呟いた。
「早くいれて……」
「後ろ向け」
言われた通りに上瀧に背を向け、シンクの縁に手をかける。入口に硬い先端があてがわれた。グッと近づいたかと思うと、一気に貫かれた。
「ウウッ……」
遠慮のない質量とよくない痛みに思わず呻いた。更に後ろから突き上げられ、目の前がチカチカした。
「痛ぁ……!」
「やめとくか?」
「嫌ァよ、ここまで来たとに……!」
「よう言うやん」
「やめられんとかさ、そういう可愛げのあること言えんと?」
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