2000年・仙台20歳女性監禁リンチ殺人事件~無残!クリスマスイブに命を奪われた少女~
44年の童貞地獄
第1話 クリスマスイブを心待ちにする少女
2000年12月18日夕方、宮城県柴田郡のJR槻木駅から自転車をこいで同郡柴田町の自宅に帰る一人の少女がいた。
少女の名は曳地里美。
自転車をこぐ里美はこのうえなく幸福そうな顔をしていた。
なぜならその胸はこの時幸せいっぱいではちきれんばかりだったからだ。
二十一世紀最初の年となる来年2001年1月には人生の一大イベントの成人式がある。
その日に着ていくための晴れ着をあと何日かで受け取れるのだ。
女として一番美しい時期の20歳である今の自分が晴れ着を着たらどうなるだろう?
鏡に映る自分の姿、そしてそれを着て成人式に出席した自分の姿を想像すると、女なんだから胸を躍らせずにはいられない。
しかも晴れ着の受け取り日は12月24日のクリスマスイブ。
その後は彼氏とのロマンチックな一夜と、その彼からのクリスマスプレゼントが待っている。
ああ、楽しみだな~!
神様!この世に生まれさせてくれてありがとうございます!
お父さんとお母さんの子でよかった!
20歳の里美は1980年4月11日に曳地家の長女として出生。
両親にとって初めての子であると同時に父方母方の祖父母両方にとっても初孫であったが、出産予定日を過ぎた帝王切開で生まれたために、その誕生を待ちわびた両親、祖父母、親類全員の大いなる歓喜と祝福に包まれた生誕となった。
誕生してからも里美は祝福と愛情をたっぷり注がれて成長する。
何しろ初の子供で初孫である里美は親や祖父母たちにとって目の中に入れても痛くないほど可愛い。
初宮参りや親類・隣近所のご披露ではベビー用品、洋服ばかりか三輪車、すべり台などのお祝いの品でぎっしり。
初節句では母方の祖父母がゴージャスな雛段飾りを送ってくれた。
父親も大枚はたいてビデオカメラを買い、その成長を記録し続ける。
そんな両親と周囲からの温かい愛情を養分に育った里美はそれにふさわしい少女に育った。
後から生まれた妹二人の面倒をよく見る妹思いの姉で、その朗らかで優しい性格ゆえに学校でも友達が多く、好かれていたという。
また、非常にまじめな性格であり、公立の高校に通う遊びたい盛りの女子高校生になっても夜遅く帰宅したり外泊したりの両親を心配させるようなことは一切しなかった。
校外活動においては高齢者施設でのボランティアを熱心にやり、その施設にいた老人は里美の温かさが非常に印象に残ったと後に語っている。
そして里美は子供にも優しく、高校から下校する途中、近所の公園で一人寂しくたたずんでいた子供がいると、たとえ知らない子供であっても制服姿で一緒に遊んであげたりしていたこともあった。
高校卒業後に里美は福祉系の専門学校に進んだが、そこは自分の道ではないと思ったらしい。
退学してしまったが、自分の道を探そうと仙台市内のファミレスでアルバイトするようになる。
給料は決して高くなかったが、彼女は無駄遣いすることなく、その金で妹にプレゼントを買ってあげるなど妹思いのお姉ちゃんぶりは健在だった。
そして里美は人を疑うことを知らず、人間性善説の熱烈な信奉者であったようだ。
よく「この世には悪い人なんていないよ。その人のために何か一生懸命やってあげれば、絶対いい人になるんだよ」と口癖のように両親や妹たちに言っていたという。
優しく、明るく、礼儀正しく、謙虚で真面目、純真で無邪気、清純で心が美しい、天使のような少女だった。
クリスマスイブや成人式がだんだん近づいていたこの12月18日、天真爛漫な里美は家に帰って家族で夕食を食べている時もウキウキが押えられず、「ね、ね、お母さん!あたしの彼氏ね、クリスマスイブに指輪くれるって言ってたんだよ」と笑顔で語っている。
しかし、この夕食時に彼女は夢にも思わなかったはずだ。
その後、楽しみにしていたクリスマスイブを迎えて晴れ着に袖を通すことも、彼氏とのデートも、成人式に出ることもできなくなることを。
そして、本当に天使にされて天に召されてしまうことも。
悪魔の化身のような女とその仲間のろくでなしたちによって。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます