時刻の支配者

藤澤勇樹

プロローグ

2025年、東京の中心に位置するIT企業「テクノソリューションズ」。この会社では、新たなAIによる勤怠管理システム「ChronoKeeper」が導入されることになった。


社員は皆、オフィスの入り口に設置された専用のゲートを通過しなければならない。ゲートには、顔認証システムと、社員証のスキャナーが備わっている。


朝9時、梨花は慌ただしくオフィスに向かっていた。彼女は29歳のシステムエンジニアで、好奇心旺盛な性格だ。ChronoKeeperについて社内研修を受けた梨花は、新システムによって生活が便利になると期待していた。


「おはようございます」


梨花がゲートを通過すると、AIの冷たい声が響いた。


「おはようございます、梨花さん。出勤時刻は9時00分です」


大きなモニターに梨花の顔写真と出勤時刻が表示されるようになった。

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