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【AD:2117年, 革命新暦:195年、春】



「リーザーちゃん、おっはよー!隣いい?」

「あらシティア朝からは珍しいわね、ユリアとイチャつかなくて良いの?」

「えー、僕リザちゃんも好きだし一緒にご飯食べたいなー」

「なっ、何よ!アンタほんとに人たらしね!ま、まあいいけど。

 ほら、ドラクルもっとそっち行って気が利かないわね」

「ぇぇ…」

「だいたいアンタらがいつもここに陣取ってるから、他の子達なかなか来ないじゃないの」


「まあまあいいじゃん、ドラクルはずっとリザちゃん一筋だもんね。

 僕だって大好きだから、ちょっとだけお裾分けして、ね?」

「むぐぐ…ちょっとだけですぞ…」

「ありがとっ!

 それでリザちゃん、もうシラバスとイニシエーションの予定は決まった?」

「ええ。そこの二人も併せて、大体決めたわ。

 1年毎の計画で出てるけど、どうせ5年後までこの調子でしょ。

 なら最終的な姿を見据えた授業取りしないと、後で間に合わなくなっちゃうわよ」

「それに全体で動くの前提だと、取り切れないところをカバーするようにしないとねー」

「そ、そうね…。

 ねえ、シティア?他の子達の分も聞いて回るんでしょ?一通り回ったら私の分とすり合わせしない?」

「んふふー、いいよ!ただ締め切りまであんまり時間ないから、決まったらすぐ行くのでいい?」

「ええ、もちろん。夜中でも部屋の方に来てもらって構わないわ」

「わかったー、じゃあまた後でね!」


「ぬぐぐ…5年も付いて回ってる我輩ですら部屋に呼ばれたことなぞないのに…」

「お、おでも…」




「おや、アーちゃんとナージャ?いつも一緒だったっけ?」

「いいじゃない、アタシたち仲良しだもん!ねーっ?」

「そうだな」

「ふーん、まいっか。その調子だと二人はシラバスの予定すり合わせかな?」

「ええ、そうよ。

 あんまり一緒に取れそうな授業がなくて…でも近いのは結構あったの。

 『忍び足』とか『特殊水泳』とか、これなにするんだろうね?」

「さあな、だがアジンは身体小さいのを生かした運動系多いから、ニンジャにでもなるんじゃないか?」

「あっはは、いいわねそれ!」

………

「うん、だいたい把握できた。二人ともありがとね!」

「いーえ、でもこれでアンタとヴォルケイン様がイチャつく時間はぐーっと減るわね!」

「?シティアとヴォルケインは特に何もないと思うが…」

「ナージャも乙女心分からない子よね…」

「まーまー。ああそうだナージャ、フーちゃんとも摺合せしてあげなよ。

 あいつさっきからこっちチラチラみてるぞ」

「あらヤダホント、じゃあ三人でフセスラフとメドベージェフのとこ行きましょ!」




「よーシャス&シス、ダルそーな顔してんなー」

「だってよぅ…なんだよこの授業数、義務のヤツだけで今までの倍くらいあるんじゃね?」

「そりゃお前ら、今までサボリすぎたのバレたんだろ。

 僕らのシラバス、そこまで義務のイニシエーション詰まってないよ」

「かーっ、マジかよ?!

 しょーがねぇイイ子の振りしてイロイロやるか、なあ相棒?」

「お、オラぁ腹いっぱいになるなら何でもえーよ」

「おーけい、ちょっと中身だけ見せてちょ。

 どうせ一緒の時間でサボれるやつは義務でもサボるんでしょ?」

「ケッ、シティアにゃ敵わねーな!」




「サル、おまえ相変わらずボッチやってんなー」

「んだよシティア、よーやくヤラせてくれる気になったかよ?」

「だーかーら、僕はそういうのヤダってばよ。おまえも懲りないなー。

 ところでシラバス決めた?」

「これ、よく解んねんだけどさ。なんだこれ?」

「居たよここに人の話聞いてない奴が。

 しょーがないなぁ、僕も一緒に見てやるからさっさと決めちゃおうか」

「シティアだけだよ、前っから俺に構ってくれんの…

 やっぱおまえ、俺の嫁さんになれ」

「ゴラ!やめえれっつってんだろこのサル!

 んでこの『言語1』『言語2』『遠泳』 『投擲』『器械体操』あたりは必須として、『毎日フルマラソン』あたりも選択で入れとくか?けっけっけ」

「げ、なんだそりゃ!擦り切れて死んでまうがな!」

「おまえは性欲強すぎ!とりあえず運動系をガッと増やそーか!」

「ぎゃー」




「リザー、もう寝ちゃった?」

「ああ、起きてるわよ。ちょっと待ちなさい」

「ごめんねーこんな時間に。

 サルはこっちで調整したしシャス&シスは想定通りだったけど、あとはこんな感じだったかな」

「あら、ありがとう。こうしてまとめてもらえると嬉しいわ。

 ドラクルもグリゴリも、このくらい要領良いと私も楽なんだけどね…」

「あはは、しょーがないよ。今まで14のダリヤ達と張り合うので精いっぱいだったんでしょ?」

「ドラクルの06とグリゴリの08もね。

 この5年間、ツマラナイことに費やしてしまったわ…もっとアベル様に近づきたかったのに」

「リザちゃんは真面目だよねー。指揮官も大変だ。

 あ、そういえばそのアベル様もケーにいちゃんも別カリキュラムだから、調べてないよ」

「だってあの二人は別メニューでしょ、構わないわ。

 それよりよくあのサルと意思疎通で来たわね。

 仲間になる、って言われても、アイツだけは気持ち悪いわ」

「まー向き不向きあるからね。

特にアイツは女性絡みになると異常に興奮して話にならないから」

「そういうアンタはどっちなのよ?

 男の子ならユリアより私を選んでくれても良いのよ?

「あはは、僕はどっちでもないよ。

 僕はリザちゃんもユリアも、ケーにいちゃんやフーちゃんだって大好きだよ」

「博愛主義者ね…ま、いいわ。

 また明日、食堂で会いましょう」

「うん、おやすみー」




「く、クヤシイ…シティアのやつ…」

「盗み聞き良くない」

「お前だって付いて来ただろ!

「ふんが」

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