028 tr24, a spider's web/蜘蛛の糸
二日目。
朝から市場へ。
ルイーズだけでなく、いつの間にかシティアも来て肩車。
デカいせいか目立って子供の群がること群がること、ものすごい勢いで一斉に俺も俺もと強請られた。
容赦ねえ。
ルイーズは一歩引いてニコニコ見てるだけだし、元凶のシティアなんて素知らぬ顔で屋台に向かいやがった。
物珍しいのか大人まで集まり人だかりで逃げることも適わなかったので、皆満足するまで丁寧に対応させていただきました。
疲れた。
開放されたのは昼頃。
子供らお昼ご飯で帰ったんだろう。
午後になってグッタリしながら移動し、ルイーズのお土産買い物の荷物持ち。
シティアは昼を食べたら、さっさと居なくなってやがった
――――――――――
三日目。
結構な数の招待者が来るとのことなので、昼の部と夜の部でゆるーく入れ替わり終日パーティ。
あ、これ逃げられないヤツ。
朝一番のリューリク家夫妻を皮切りに、続々と訪問者がやってきた。
メインはブリャチスラヴィチ家とリューリク家の親族だが、イヴァン伯爵の兄妹だけで8名、今は無きアンソニアさんの兄妹は12名!
これにパートナーや子孫が入り雑じり、来場者だけで100名近くいるんじゃなかろうか…
皆が皆ライカンスロープの耳ではないもののざっと見半分は該当しそうなので、確率的には顕性遺伝かな。
軍服で来場する人も男女問わず多いので、軍務につく人も多いのだろう。
こ、こんな人数で歓迎されて…オレ、もしやどんどん絡め捕られてるのか?
冷や汗出てきた…
――――――――――
皆さまイヴァン伯爵のご子息・ご息女のために集まったというよりは酒を呑む口実が欲しかったようだ。
体格の良い人たちの中でさら背の高いオレは良い肴だったらしく、アレコレ聞かれるだけでなく国家情勢や一族の繁栄などタメになる講義をたくさん賜った。
そろそろ他の知り合いでも…とキョロキョロすると、居たよぽっちゃりさん。
転生者審査官の来栖ワイズさんだ。
こっちの視線に気が付いたようで今回は…親指と人差し指のハート付きでバチコーン!とウィンクを頂きましたよ。
吹き出さないで我慢したオレを褒めたい。
その来栖さん、ニッコニコでこちらに来たのでお話しさせてもらう。
「おやケインさんじゃありませんか、怪我もすっかり治ったようでなによりです」
こンの…
「お久しぶりです、相変わらず絶好調ですね来栖さん!
そういえば検査結果の登録とかされてましたっけ?」
「ええ、今日はその書類受渡しのために訪問したのですが、お呼ばれしたのでパーティも楽しんでますよ」
むしろ知ってて潜りこんだな、要領の良いオッサンめ。
「これから学園都市経由で北へ向かうと聞きましたので、そのための手続きも必要ですね。
バルト帝国だとプロイセンを通過するので、休戦協定中の国への出国は結構厳しいですよ。
とはいえ国境破りなんて愚かな真似は、三重帝国近隣ではやらないでくださいね!」
バレてた(汗
またもや死屍累々…かと思いきや流石皆さまご精強な一族、シャンとしてお帰りになられた。
遠方からの方々と共にゲストハウスへ移動し、夜も遅いので就寝。
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四日目。
明日にも学園へ向けて出発との事で、そろそろ準備。
とはいえこの先も基本的には野宿無し、メイン街道の快適な旅なので重装備は不要だ。
次兄のランディさんに時間を貰えたので、ちゃっかり宿泊していた来栖さんと三者で越境の手続きを進める。
「狼君たちも、ずいぶんと、まあ、大きくなりましたねぇ…
ハンバーグでもたくさん食べましたか?」
分かりにくいボケだな、○大のCMのヤツか。
「こちらも主従の証明をつければ、とりあえずアウストリからの出国は可能です。
但しその先は保証の限りではないので、充分に気を付けてください。
手続きの書類は、学園都市のルイーズさん宛で送ってよいですね?」
ああ、だんだん旅の実感が湧いてきた。
随分イージーな進行だなぁ。
ブリャチスラヴィチ家の皆さまは今日中にもう少しご挨拶回りだそうで、ルイーズすら見かけなかった。
例によってシティアはふらりといなくなったきり。
幸いタロとジロは元気だ、残りの時間は庭で力いっぱい遊ばせてもらう。
――――――――――
五日目。
王都ザグレヴからの出発。
早朝に門の前へ集合し、またぞろぞろとウィーン経由で学園都市へ。
新学期直前のため王族や近隣諸侯のご子息が頻繁に通る日程だからか、人の往来は多い。
新学期開始の前日夜とかなりギリギリになったものの、なんとか間に合った。
他の皆も現地解散し、オレとタロ・ジロは校門近くのゲストハウスでご厄介になる予定だ。
さて、これからどうしようかな。
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