湖月冴ゆ悴んだ手で掬う度つと掬う度ひずんでゆくの


『湖月冴ゆ かじかんだ手ですくたび

 つと掬う度 ひずんでゆくの』


「ねえ、あなた。

 湖面に映った月が、綺麗だったの。

 まるで、堕ちてきたみたいだった。


 それでわたし、どうしたと思う?

 掬おうとしたのよ、月を。

 救おうと、じゃなく、掬おうとした。

 わたしだけのものにしたかった。


 だけど、月は嫌がった。

 わたしの、冷たい手を嫌がった。

 どんなに優しく掬おうとも、

 綺麗なままではいてくれない。

 掬おうとするたびに、ひずんでしまう……


 ねえ、あなた。

 まるで、あなた、みたいね」

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