第12話 用意周到な研究者の記者会見

「あなたの医療用ナノマシンを使用した患者の多くが相次いでゾンビ化したことについて、どのようにお考えですか?」


 現在改良中です。


「ゾンビになってしまった方への謝罪はないんですか?」


 それは人に戻してからご本人に行います。


「そんなことができるんですか?」


 個別時間転移装置を人に使用できるようになれば、可能です。


「それはいつまでかかるんですか? それまでゾンビになった方の命は保つんですか?」


 もう少しで完成すると思います。ゾンビになった方については、既に亡くなっているので、これ以上死ぬことはありません。


「ナノマシンについてですが、使用した方の多くがゾンビ化してしまったということは、ほとんどデータは取れてないんじゃないですか?」


 データはすべて取れています。


「ゾンビと会話でもできないと、不可能じゃないですか?」


 生きた人間の言葉が話せるゾンビの情報屋がいるので、その方に依頼してゾンビになった方々から聞き出しました。


「でも魂は別のところにいますよね? それなら不完全なデータじゃないんですか?」


 死神の情報屋がいるので、その方に依頼してゾンビになった方々の魂から聞き出しました。


「ナノマシンはどうなったんですか? 生命活動が停止した肉体から取り出すのは不可能ですよね?」


 いいえ、個別時間転移装置があるので、すべて回収できています。


「だったら改良は今どの段階まで進んでるんですか?」


 任意のタイミングでゾンビ化させられる機能を搭載した段階です。


「そんな危ないもの何に使うつもりですか? 今はどこにあるんですか?」


 何に使うかは、すぐにわかると思います。なぜなら、それらは今あなたたちの体の中にあるのですから。

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