龍虎の華麗ならざるお茶会🐲🐯☕

夢月みつき

本文「寅太郎と辰子のお茶会」

 🐯登場人物紹介🐲


 🐯寅太郎とらたろう

 虎族の男子、今日は彼女の辰子とのデート。

 甘い物に目がない。


 🐲辰子たつこ

 龍族の女子、同じく今日は彼氏の寅太郎とのデート。

 甘い物が大好きな女の子。



 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>



 ここはとある街の喫茶店窓際の一角、虎族のとら太郎たろうはコーヒーを飲みながら、強敵カノジョとの待ち合わせをしていた。

「おせーな、辰子たつこは。ラインに“すぐ行くね♡”とか、入ってたけど。一時間前だしよ」



 その時、喫茶店のドアベルがカララーンと鳴り、白銀のうろこと青い目を持つ白龍はくりゅうが入って来た



「待ったーん?寅あ~」

「おせーよ、辰子!先にオススメ茶菓子、頼んじまうとこだったゼ」

「ごっめーん、寅あ。私の自慢の鱗がご機嫌斜めでえ♡」



 毛なら分かるけど、鱗がご機嫌斜めとはなんなのだろう?と寅太郎は思ったが、怒らせると怖いので黙っていた。

 辰子は席に着くと店員にコーヒーを頼む。


「アメリカンでお願いね!」

「それと、オススメ茶菓子とアメリカンのおかわりを頼む」

「アメリカンお2つと、オススメお茶菓子お一つですね。かしこまりました」



 店員は、注文を聴いて戻って行った。

「で、最近の調子はどうよ?」



 寅太郎が辰子に聞く。

「うーん、うちは最近、親戚の子が生まれてお祝いに行ったとこなの。寅のとこは」

「俺の所も親戚の子供が生まれたよ」

「ねえ、寅」



「なんだよ」

「うちら、いつ結婚すんの?あたしも寅の子供欲し~」

「まあ、そのうち」



 寅太郎は、頬を赤くしてふいとそっぽを向き、冷水を一口含ませる。

「寅のいけずぅ~」

 辰子はむうーと頬を膨らます。



 しばらくすると、オススメ茶菓子とアメリカン二つが運ばれて来た。

「おまたせ致しました~」




 オススメ茶菓子、この喫茶店のおすすめメニューだ。

 ミニサイズのどら焼きやモナカの和菓子のみでなく、マカロンやエクレア等の洋菓子が両方食べられる。



 寅太郎と辰子はコーヒーを飲みながら、オススメ茶菓子を次々と口に放り込んで食べていく。

「美味い、美味い」

「美味しい~」




 🐯🐲☕






 そのうち、オススメ茶菓子はどら焼きとエクレア各一つずつを残すのみとなった。

「ねえ、寅。これ私がもらっちゃうよ」

「馬鹿、最後は俺が食うに決まってるだろ!」



「なんですって!?」

 その時、寅太郎は辰子の逆鱗に触れた。

「何言ってんの?こんな時は、女の子に譲りなさいよ!」


「オマエ、俺よりバカスカ食ってただろ!?最後くらい俺に食わせろ」

「「なんなんじゃ、オマエ~!!?」」




 かくして、二人の華麗ならざるお茶会バトルが勃発ぼっぱつしてしまった。

 二人はテーブルをはさんでいがみ合う、まさに虎と龍の戦いだ。



「このどら焼きとエクレアは、あたしが食べるっていうとるやないけ!」

「だから、俺はオマエがバカスカ食うから、いくらも食えなかったんだよ!」

「女の子に何いっとんじゃ、ワレ!龍族出でよ!あたしの加勢して」



 辰子は、龍族の子供達を召喚した。

「召喚までするとはな、仕方ねえ!虎族出でよ!」

 寅太郎も虎族の子供達を召喚した。


 龍虎のお茶会のAIイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093077033524317?utm_medium=email&utm_source=news_comment


 ワーワーギャースギャース

 ――双方一歩も引かず、向かい合って罵り合う事、三十分――



「――あのー、お客様?他のお客様のご迷惑、並びに営業妨害です!」

 羊族の店長が口元を引きつらせて、腕組みをして立っていた。

「「うっ、ごめんなさい……」」

 真っ青になって、謝る寅太郎と辰子、と双方の親戚の子達。




 その帰り道。

「辰子、ごめんな。俺が悪かったよ」

「私こそ、ごめん寅」

 寅太郎と辰子は、甘々な雰囲気で寄り添いながら夕暮れの街を歩いていた。



 -終わり-


 お読みくださり、ありがとうございます。




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