第1章
第1羽
悪い夢を見ていたらしい。
目覚めると、汗だくになりながら、枕にしがみつく恥ずかしい自分がいた。
時計を見る。
ちょうど正午の十二時に針が止まる。
僕はあれから、八時間ぐらい寝ていたということか。
……何だろう、この後味の悪さは。
すでに、どんな夢を見ていたのか忘れてしまっている。
けれど、酷く断片的な――いくつもの視点が混ざり合ったような――めまぐるしい夢だったと思う。
それに不思議と、悲しいような寂しいような気持ちで、僕の胸は満ちていた。これも夢の内容のせいでこうなっているのか。
どちらにせよ、夢の記憶がない以上。
僕に言えることは、一つしかない。
それは。
よりによって、初勤務の今日初日。
僕は寝坊をしてしまったということだ。
枷背の子(かせのね) 那須茄子 @gggggggggg900
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