追放された王子は辺境で美少女と楽しい温泉ライフを送る。あれ~~~僕を追放した兄の国がかたむいてるけどもう違う国だからしょうがないよね
ぐうのすけ
1章
第1話
4人の美少女と一緒に温泉に入る。
追放されたあの時は不安だった。
でも警戒したほど悪い事は起きなかった。
それどころか美少女が吸い込まれるようにハーレムに加わっていく。
あの時の僕は幸せハーレムを作れるとは思ってもいなかった。
「はあ、はあ、まったく、王を、怒らせて、何を、やらかしたのですか?」
僕と一緒に螺旋階段を登るバロンが愚痴をこぼした。
バロンは王の弟である僕、マグナム・ピサ(15才)の教育係だ。
本当は第一王子であった兄の教育係を務める事になっていたが口やかましい為第二王子だった僕の教育係になった。
バロンは白い髪を乱し、汗を掻き息を切らしている。
王城でもある高いタワーの階段を登り嫌になるのは分かる。
「身に覚えがないよ、まだ半分くらいしか登っていないからあまりしゃべらない方がいい、疲れるよ」
口やかましいから黙って歩いて欲しい。
バロンはめんどくさい。
何か言えば何倍にもなって批判が返ってくる。
「はあ、元はと言えば、魔道エレベーターを使えないほど王を怒らせたマグナム様に問題があるのです」
「だから、身に覚えがないんだよ。それに魔道エレベーターを使えないのは兄さんの命令だ」
「どうですかな? マグナム様は変わりものですから」
僕は元日本人でこの世界の人間と考え方が違う部分はある。
転生前の記憶があるためこの世界の常識と考え方が少し違っている。
この世界は魔道具により文明はそこそこ発展しているが王が統治する中世のような世界だ。
転生前の僕は今と同じ15才でロボットアニメのロボットとヒロインの萌え、そしてヒーロー展開が好きな普通の高校生だった。
変わっている事は認めるけど、バロンは上には甘く下には厳しい。
王の悪口を言えないから僕にきつく当たる、ただそれだけだ。
めんど。
「それにね、僕は兄さんに嫌われているから何もしていなくてもこの長くてくるくる回る螺旋階段を歩くことになる、兄さんが王になってからずっとそうだよ」
「そうでした、変わり者のマグナム様を嫌う王はいつもそうしますな」
何を言っても僕のせいにしてくる。
だから僕の教育係にされたバロンもバロンだとは思うけどそこは黙っていよう。
バロンの文句や批判はBGMのようなものだ。
兄さんは突如引退した父に代わり王位を継承し、今20才だ。
嫌がらせはずっと続く。
そんなに嫌ならやめればいいのに。
僕の教育係をしている時点でバロンもよく思われない。
ごちゃごちゃ言うならやめてほしいなあ、口やかましいバロンはあまり得意じゃない。
「もし嫌なら僕の教育係をやめてもいいよ。学のあるバロンなら他に務め先はあるだろうし、今後兄さんの嫌がらせは続くからさ」
「はあ、はあ、マグナム様が、悪いのです」
嫌ならやめてくれればいいんだけど、バロンは本当にめんどくさい。
疲れて口数が少なくなったバロン、そして何も言わなくなった僕は黙々とタワーの螺旋階段を登る。
兵士が護衛する門を通るとやっと王の間についた。
「ふん! 遅かったではないか」
兄さんが鼻を鳴らし、バカにした目で僕を見た。
「申し訳ありません」
バロンは人が変わったように跪き視線を下に向けた。
態度が豹変した!
……兄さんがいる前で口やかましくすればバロンは殺されるかもしれない、こうするしかないよな。
「所でマグナム、またお前の悪い噂が流れている。女好きなのは分かるが女と遊び歩き悪い噂を広めるなよ」
僕は兄さんから悪い噂を流されている。
でも僕は転生前から女性と遊べていないし童貞だ。
女性が好きではある、エロくもある、でもそれでも童貞だ。
女性を見る事はあっても何も出来てはいない。
むしろ悪い噂が出ているのは兄さんの方で気に入った町娘を連れて来てこの階に住ませている。
兄さんは自分の悪い噂を僕のせいにしている、でも言い返してはいけない。
言い返した瞬間に『言い訳をするな』『それは俺が判断する事だ』『王に意見する気か』とカウンターが返ってくる、あまり言うと最悪殺されるからマジで。
「はい、王の弟として立派になれるよう努力しています」
「ふん、努力の欠片も見えんがな」
「……」
兄さんよりは何倍も努力をしているけど言い返してはいけない。
兄さんがどんなにクズでも言い返してはいけない。
スキルを使って兄さんを倒す事は出来る、でもその後無事に逃げられるかは分からない。
国を出ようかな、その方が幸せになれる気がする。
「おい、兵士、呼んだあいつらはまだ来ないのか? 俺をいつまで待たせる気だ!」
「申し訳ございません! すぐに連れてきます! 魔道エレベーターを使ってもよろしいでしょうか?」
「早くしろと言った、無駄な事を聞くな」
「申し訳ありません! すぐに連れてきます!」
兵士が去っていくと俺とバロンは待たされた。
その間兄さんはワインを飲み、おいしそうな肉を食べている。
そして可愛い女性を横に立たせ、密着させ胸を揉む。
羨ましすぎる。
美女を何十人囲っているんだ?
「呼んでまいりました!」
ボロボロになった装備を付けた兵士がぞろぞろと歩いてくる。
このピサ王国は100年前から東の国と戦争をしている。
「隊長、お前の罪を言え」
「は! 街道でユニコーン王国の補給部隊襲撃を試み、失敗しました!」
兄さんは兵士を道具のように使っている。
魔道爆弾を持たせて突撃させたり、少ない兵士で後方部隊に奇襲をかけさせたりと神風特攻のような攻撃で敵国に打撃を与えた。
この事で敵兵を大きく後退させた。
短期的には兵士を犠牲にして成果は出ている。
でも長期的には兵士を失い取れる手が狭まり不利になっていく。
兄さんは民をまるで植えれば育つ大根か何かと勘違いしているようだ。
さらにだ、敵軍は同じ手を何度も受け続けるわけじゃない。
当然対策を取って来る。
後方の補給部隊を叩くこちらに対して補給部隊に見せかけた兵士を潜ませて奇襲部隊を潰し逆にこちらの被害が増えつつあった。
戦線が前進して奇襲地点が遠くなるのは物資の消耗にもつながる。
敵が奇襲に慣れてカウンターが返されるようになった。
兵士も自分たちが捨て石になっている事は分かっていてやる気は上がらない状況。
その上で少ない兵士だけでのゲリラ戦の継続。
無理ゲーすぎる。
今この国は劣勢だ。
兵士は何も悪くない。
失敗するのが普通だ。
「お前ら30人は死刑が妥当だが……うーむ、マグナム、どう思う?」
兄さんが気味の悪い笑顔で俺を見た。
そうか、分かった、僕を落とし入れたいんだな。
僕に助けたいと言わせて無理難題を吹っ掛ける。
もしくは僕を隊長にして奇襲をさせて死んでほしいと思っている、こんなところだろう。
分かっている、これは罠だ。
それでも、
「助けたいです」
「ほう、だがただ助けたとなれば軍規が危ぶまれる、そうだな、ではマグナム、お前が罪を被れ、呪いの首輪をつけて、お前もろとも辺境の村カントリーヒルに住め」
呪いの首輪=つければ外せず死ぬと言われている。
辺境の村に行く=島流しと同じで戻ってこれず高確率で死ぬ。
兄さんは俺に死んでほしいのか。
でも……呪いの首輪は何とかなる。
僕なら死なない気がする。
「呪いの首輪をつけてカントリーヒルに行けば皆を助けてくれますか?」
「約束しよう、だが兵士も皆カントリーヒルに移住だ。重要な作戦の失敗、そうなればどうなるかを皆に示す必要がある」
「わかり、ました。受けます」
「はははははははははは! 受けるか! そうかそうか、まさか受けるとは思わなかった! 自ら死を選ぶとはな! ある意味感心した! 流石我が弟だ!!」
兄さんが笑う。
もう、兄さんは兄さんじゃない。
僕を殺そうとした。
でも僕は死なない。
生き残る、生を諦める気はない。
「所でバロン、お前はマグナムの教育係か? それとも俺の忠実なるしもべか? 顔を上げて俺の目を見て言え」
「もちろん、王のしもべにございます」
バロンは顔を上げて満面の笑みで迷いなく言った。
なるほどな、
王もバロンも、
似た者同士。
でも、追放は悪くない。
この決断が僕の人生をいい方向に変える事になる気がする。
王は気づいていないようだけどこの国は傾き始めている。
戦争は向こうに有利だ、今は兵士の命を使って戦線を後退させただけだ。
無事にここを脱出できるならむしろ追放された方がマシかもしれない。
あとがき
この物語は基本無双します、主人公がスパイを警戒したりしますが苦戦はしません。
途中からお色気要素強めになっております。
お色気要素に抵抗が無ければ是非お楽しみください。
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