限界童貞の特徴

エリー.ファー

限界童貞の特徴

「限界童貞の特徴について、考えていきましょう」

「何故、考える必要があるんですか」

「まぁ、色々ですよ。色々」

「色々、ですか。まぁ、別に構わないですけど」

「限界童貞の限界について、どう思いますか」

「まずは、貧困とかですかね。お金がないから生活自体が上手くいっていない、というイメージです」

「でも、そうなると、ただの貧しい人、というイメージになってしまいませんか」

「うぅん。だとするならば、貧しい人、というのが第一条件になるんじゃないですかね」

「貧しい人は、まず限界童貞としてのステップを一段分は登った、ということですね」

「まぁ、そういうことです」

「ですが、そう考えると、私はどうしても最初のステップは、これだろう、というのがあるんです」

「なんでしょう」

「恋愛弱者」

「あぁ。言っている意味は分かります。ですが、限界という言葉に恋愛弱者を含めるかどうかについては議論のしどころであると思います」

「確かに、限界、というワードはありとあらゆる所で使われますからね。限界OL、限界漫画家、限界ナース、限界ニート。恋愛という要素よりも、経済という要素の方が人生に与える影響が流石に大きいはずですから、貧しさの方を優先するべきかもしれませんね」

「その、自分から言っておいてあれなんですが。恋愛強者は、基本的に恋愛弱者から金を巻き上げることがでいますから貧しさからの脱却は容易なようにも思います」

「その視点は、いいですね。では、第一ステップは二つの要素にしましょう。貧困かつ恋愛弱者である。これを限界童貞の一つ目としましょう」

「これなら、童貞という要素も入っていますし、正確であると思います」

「では、貧困かつ恋愛弱者である人間には、どのような特徴があるのでしょうか」

「すみません」

「なんでしょう」

「限界童貞と言うと、男性だけになってしまっています。女性もいるのではないでしょうか」

「なるほど、限界処女ですね」

「はい」

「そうですね、それは後で考えてもいいのではないでしょうか」

「分かりました。記録しておきます。では、別日に」

「気を取り直して。限界童貞ですが、この状況を自分で問題視できているにもかかわらず、自分から問題解決に乗り出せない人間である、という特徴があるかと思います」

「そうですね。問題解決することが不可能であり、誰かに助けを求めるしかない状況である、という方が適切かもしれませんが、自分から問題解決に乗り出せない、また、乗り出す気がない、ということと同義とすれば問題ないと思います」

「学習製無力感についても、追加するべき要素かと思います」

「同意します」

「有難う御座います」

「会話をしていて思ったのですが、誰も、限界になりたくないわけですが、童貞という要素については、どうでしょうか。まぁ、処女についても同じですが」

「どういうことですか」

「なりたくて、なっている、ということです。というか、問題視していない」

「限界童貞及び限界処女において、問題視していないというのは重要な要素ですね」

「そうなんです。問題視しない限りは限界ではないような気もするんですよね」

「結局は他人から押し付けられる要素でしかないので、信用に値しないんですよね、この言葉」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

限界童貞の特徴 エリー.ファー @eri-far-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ