第2話

「ああっ!もう何でこんなにバスが混んでいるんだよぉ!」


 と叫びたくなるが、そんなことをしたら


 動画に撮影されてインターネットのおもちゃにされてしまうだろう。


 そう思って、僕は黙ってお気に入りのウェブ小説をスマホで読みながら、このぎゅうぎゅう詰めの満員バスに揺られている。


 いつも、登校時間はここまで混まないが、どうやら電車が遅延したようで、それで乗客がこっちに流れ込んで来ているらしい。


 仕方ないこととはいえ、辛いものは辛い。


 そういえば、満員電車とかで痴漢からカワイイ女の子を助けて恋人になった〜みたいな小説があったな。と思っていると


「ひゃっ!」


 何やら手が僕のおしりに触ったような感触があった。 


 いや、気の所為だよね。まあ、男としては僕はかなり背が小さい方だが制服を来ているし、単純にこのぎゅうぎゅう詰めの中で偶然……


 さわさわさわっ


 いや、これ絶対に痴漢だ……


しかも、今度は念入りに太ももを触ってくる。


 男の太ももなんて何が触って楽しいんだ?


いや、もしかして……


 「俺はノンケまで食っちゃうホモビ男優。イキスギィイクぅ!んぁっー!」


 みたいなヤツがやっているのか?


 いやいや、そんなことは……


「えへへー。コウ君おはよう。ぎゅうぎゅう詰めだね♡」


 後ろから、萌歌さんの声が聞こえてくる。


 良かった。ホモじゃない……


………


?????


「おはようございます……如月さん……」


「コウ君ってさ、結構いい太ももしているよね♡」


 やっぱり如月 萌香さんのセクハラだ。


 パアアン!! 


 左の山に力強い音が鳴り響く。


 「いや……如月さん……そこお尻……」


「え?何か言ったかな?」


 もにゅもにゅと彼女はその細い指で揉みしだいてくる。


 「いいシリしてるね♡お兄さん♡」


 って確信犯じゃないか!女の子が男のシリなんて触って楽しいもんなのか?


 「ひゃあ!」


 山と山の間に彼女は侵入してきた。いやいやいや!そこまでいったらダメだよ!


 女の子がやったらダメな行為だよ!いや、でもビッチで有名な如月さんなら


ソッチの経験もあるのか?童貞の僕がそう思っているだけで、みんなソッチの経験があるものなのか?


 ヤバイヤバイヤバイ!!




「清水高校前―」


「コウ君、学校着いたね。じゃ、またクラスでね♡」


 


 尻から離れる手の感触、彼女は手を振って学校へ行っていった。


「やべっ!僕もおります!」




 女の子にお尻触られるのって、ちょっと癖になりそう……






 ってこれじゃあ痴漢物のAVかエロゲみたいじゃん!


 僕にそんな趣味はない!


 ないよね……

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