心の支え

 春の夕方、学校が終わり、輝は公園で白玖と宇都美と待ち合わせていた。桜の花が美しく咲き乱れる中、彼は二人に国内の一流チームからの提案について説明し始めた。


「実は、国内のプロチームから声がかかって、春季大会の結果次第でチームに合流できるかもしれないんだ。」

と輝が話すと、白玖の表情が一瞬で曇った。彼女は輝の外見に惹かれて恋に落ち、その美しさにいつも心を奪われていたが、彼と離れることへの恐怖も同じくらい強かった。


「輝、それは素晴らしいニュースね。でも、輝と離ればなれになるのは寂しいな…」

白玖は彼女特有の素直さで心の内を明かし、輝の反応を伺った。


 重たい空気を感じ取った宇都美は輝のそばでニッコリと笑いながら、励ましの言葉をかける。

「輝、それはでかいね!もちろん、心配しないで!どこにいても応援してるから。お前がどんなに成長するか見るのが楽しみだよ。」


 輝は二人の反応に安堵しつつも、白玖の不安を感じ取って、優しく言葉を選ぶ。

「白玖、ありがとな。まだプロに行けると決まったわけじゃない。でもどんな結果になっても俺たちのことは変わらないから。お互いの気持ちはいつでも一緒だよ。君よりも美しい人なんかいないからね笑」


 白玖は輝の言葉に少し安心し、少し甘えた声で返す。

「うん、信じてる。ただ、たまには会いに来てね。寂しくなっちゃうから笑」


 春の温かい風が彼らの周りを優しく包み込む中、三人は笑顔で話し続けた。彼らの間の強い絆と、お互いに対する深い信頼感が、この新しいチャレンジを前にしても揺るぎないことを再確認していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る