第37話 バトルロイヤル
冬至は、封筒に入っていた手紙を手に取った。
「この、端のマーク、見覚えはないか?」
冬至が指差したところには、黄色い花のマークが印刷されている。
うーん、言われてみれば、見たことがあるような……。
「あ、これ、中等部の校章じゃない?」
「あっ!」
思い出した! たしか、中学の頃の制服に、このマークと同じバッチをつけてた!
「そうだ、おそらく、この手紙の差出人は、中等部の人間だろう」
「うーん、でも、中等部の生徒と思わせるために、わざと中等部の交渉がプリントされている紙を使った可能性もあるんじゃないかしら?」
「いや、その可能性は低い、この手紙には、『勝負しましょう』と書かれていた。この時期に、中等部マークを見せて、『勝負しましょう』だ。近日中に行われる、あの行事のことを指しているとしか思えないだろ?」
「「あっ!」」
僕と好実は顔を合わせ、驚きの声を出した。
そう、それは、今朝、僕と冬至が参加することになった、あの行事だ。
「手紙の差出人は、皇を自然教室に誘っている」
召喚士育成学校中等部が実施する自然教室には、目玉行事がある。
それは、広大な敷地を使用しての戦闘研修、俗にいうバトルロイヤルだ。
中学生召喚士を、狭ばる範囲内に配置する。召喚士同士がであってしまった場合、試合をする。そして、負けた召喚士は脱落となり自ら範囲外に移動する。
それを最後の一人になるまで続ける。
「僕たちの代って、参加した召喚士何人ぐらいだったっけ?」
基本的に、召喚の儀式は、高等部に上がるときにため、中等部の生徒は、まだ召喚獣を使役していない。だけど、親の召喚獣を引き継きついだり、、召喚士の適性が高い人は、召喚の儀式を先に行うため、普通の学生よりも先に召喚獣を使役している。
「……俺たちの時は30人ぐらいだな」
「そうそう、で、その時は斉藤がやんちゃしちゃって、開始1秒で、自分以外の召喚士と召喚獣を全部吹き飛ばしたんだったわね」
ニコニコしながら、冬至の顔を覗く好実。そうだった、その時は一位報酬に欲しいものがあるって、張り切っていたんだっけ。
「でも、たしか、範囲内の草木も全部吹き飛ばしちゃったから、やりすぎだ、って、報酬をもらうことができずに、奉仕活動やってたっけ」
「斎藤にも、そんな時代があったわね……」
なんだか、考え深い、この不細工にも、可愛い時代が存在したなんて。
「けっ、言ってろ」
そっぽを向きながら、太々しく机に座る冬至。
「じゃぁ、自然教室の参加者は、僕と冬至と好実の三人でいい?」
「ああ、その三人だけがいいな、動きやすいし」
「そうね、その三人がいいわ、……目移りしちゃうかもしれないし」
僕は、自然教室の上級生枠の参加者を伝えるために職員室に向かった。
その途中で、ある人物と出会った。
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