冒険者登録2

これから冒険者登録のために冒険者ギルドに向かう。その前に今までお世話になった人たちに挨拶に周った。気をつけてと口々に言われた。皆心配してくれているようだ。

お父様とお母様、お兄様には抱きつかれた。そして絶対に無事に帰ってくるようにと言われた。かなり心配されているようだったので、少しでも安心させたいと思い、「はいっ‼︎」と元気よく返事をした。お兄様は着いて行きたがっていたが、次期伯爵としての勉強もあるので、さすがに無理だったようだ。


冒険者ギルドに向かう途中、お父様から貰った魔法書を読んでいた。この本には基礎から応用まで様々な魔法の使い方が載っている。この本によるとどうやら細かな魔法の名前はほとんど付けられていないらしい。どれも初級魔法、中級魔法…としか書かれていなかった。

俺は名前を覚えるのは苦手だしな。名前を覚えないと発動できないなんてことにならないから、そこは助かるな。

そして、初級魔法と中級魔法などの違いだが威力や効果範囲のようだ。イメージさえできればどんな魔法でも使用できるらしい。

物凄く分かりやすい‼︎

魔法書には魔法の絵が描かれている。その通りに魔法を使用すればいいだけだ。

これなら簡単に出来そうだ。


早速だが馬車の中でできる簡単そうな魔法を試してみることにした。この中では探索魔法が一番簡単だろう。探索魔法は特殊魔法の1つで物や人、何でも見つけることのできる魔法だ。探索魔法の応用バージョンには探索した物の名称や使用方法などが分かり、具体的に何が分かるかは人それぞれ違うらしい。


自分にはどんなものが見えるのか、楽しそうだ!!と思ったレオンはまず探索魔法の基礎魔法を試してみる。魔法を使うこと自体初めてだったのでなかなか上手くいかない。説明には体内にある魔力を感じ取り、外に放出すると書かれていた。なぜか、途中で途切れてしまう。10分ほど試行錯誤してできるようになった。その後何回か試したが、一度成功したらもう大丈夫なようだ、今度はすぐに使うことができるようになった。


まだまだ時間が余ったので、次は探索魔法の応用バージョンにも挑戦してみる。これは10分そこらではどうにもならず、結局冒険者ギルドに到着する直前まで、1時間ほどかかってしまった。この応用魔法をまず俺自身にかけてみた。健康状態が分かるようだ。"健康"と書かれていて一先ず安心した。良かった…。この魔法は後でいろいろ試してみようと思った。


冒険者ギルドに到着し、また水晶に触れ、登録する。すぐに会員証ができたようだ。この会員証はこの王国内だけでなく、全世界で使うことができる全世界共通のカードだ。最初はFランク、白色だ。この会員証は魔力を含むことで文字と色が浮かび上がる仕組みとなっており、自身のステータスに応じて、ランクが自然と変動し、色も変わるようだ。だから、気がついたら上がっているということもあるらしい。登録が終わったので「ステータスオープン」と唱えるだけでステータスもランクも見ることができる。会員証は冒険者だという証であり、ステータスを見せなくてもすぐにランクを示すことのできる便利なカードのようだ。


ステータスでは現時点での魔力量、使える魔法の種類、倒した魔物の数等を見ることができる。たまにステータスを確認すると新たな魔法を授かっている場合もあるようだ。特殊魔法にいたっては、本に記載されているものを何度も練習することで使えるようになる場合といきなり授かる場合があるらしい。

ちょっとよく分からないな。運なのか?それともある程度実力があるからこそ与えられるのか?


まあそれはひとまず置いておくとしよう。リナによると、ステータスはあまり人には見せない方が良いらしい。まあ、よく考えてみるとそうだよな。魔法には相性がある。例えば火は水に弱い…みたいな。威力が違いすぎる魔法だったら相性も何もないが…。もし教えた相手が敵だったら弱点とか知られることになるもんな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る