第2709話 止まらない猛攻。


(……P型の亜種みたいなものかと予想しとったんじゃが……これは、違うな……まったくの別物……バカげた数値だけは似たようなものじゃが……内に秘められた『積み重ね』が、P型とは、ケタ違い……こいつは本物……P型とは比べものにならん、本物の質量……)


 P型は、間違いなく恐ろしい敵だったが、

 どこかカラっぽで、『底の浅さ』を感じた。

 無粋に数字が膨らみ続けるだけのバカだった。


 しかし、目の前に立つ化け物は違う。

 この厚みは、ゾメガほどの強者を怯ませるに十分。


「――神速閃拳――」


 ウムルは次元を駆け抜ける。

 豪速のジャブを嵐にして、

 平熱マンに削りを入れながらも、

 ジャミやカンツにも牽制をいれていく。



 ――このウムルは、ヌケガラである。

 ヌケガラのシャドーに過ぎない。


 普通に考えたらP型よりも空っぽのはず。

 しかし、重たい。

 その重たさは、正式に積んできた証。


「逆気閃拳――抜刀一閃――十閃楽団っっ!!」



 止まらない猛攻。

 そんなウムルの連撃に対し、ゾメガは、


「平! もう一発、エニグマを撃つ! 悪いが、時間を稼いでくれい!」


「それはいいのですが、大丈夫ですか? もう一発撃てるんですか?」


「二発が限界じゃ。次、撃てば、さすがに動けんようになるから、そのつもりで立ち回ってくれい!」


 そう言いながら、魔力の溜めることに集中するゾメガ。

 とことんまで自分に没頭して、

 先ほどよりもドデカい一撃を放とうと躍起。


 そんなゾメガをサポートしようと、

 平熱マンは全力でウムルに削りを入れようと奔走。


 さすがの実力で、カンツやジャミよりも華麗に立ち回っているが、

 ウムルの実力は、平熱マンをも超えてしまっている。


「――いいプライマルプラチナだなぁ、平熱マン! センエースの剣技の一部が見事に体現できている! ほんと、でたらめな強さだ!」


 平熱マンに刻まれたプライマルプラチナスペシャル『史上究極の弟子(勇者)平熱マン』。

 『師が磨いてきた剣技の器』を『平熱マンの魂魄に重ねることができる』という、はなはだイカれたスペシャル。


「やはり、プライマルプラチナは格が違った。スペシャルの究極。これ以上ないスペック。プライマルプラチナを持つというだけでも、貴様が破格の価値を持つということが、よくわかる!」


 そう叫びながらも、

 ニタニタと微笑み、


「けどなぁ! こちとら、ガチのセンエースに、何度も、何度も、刻まれてんだよぉ! あいつの一閃は、何度も、何度も、何度も、私を刻み続けた! センエースの剣は、私の体だけではなく、心にも深く深く深く刻み込まれている! そんな私の前で、センエースの剣の『一部』が再現できるだけの貴様が舞える道理はなぁい!!」


 ギアをさらに上げていく。

 ウムルが積んできた全てが輝く。


 ただのシャドーとは思えない厚み。

 ゼノリカは圧倒されるばかり。


「理解しろよ、金魚の糞どもぉ! 私は『センエースの敵』だ! 『センエースの保護対象』でしかない貴様らとは、存在の次元が違うんだよぉおお!」

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