第1066話 原初の記憶。


 ――六周目、七周目、八周目、十五周目、

  三十二周目、五十七周目、五十九周目、六十二周目、

  六十五周目、七十七周目、八十二周目、八十九周目、

  九十八周目の??????




『もういやだ!! 終わりが見えない!! 辛い。苦しい。もう嫌だぁぁあ!!!』


『……【[??さん]】……ごめん……ぼくも[ル:]も、一週目の時とは比べものにならないくらい強くなった……強くなって、強くなって、強くなって、強くなった……けど……ぼくたちは……もう……無理……』


『ムリだ……【[??さん]】を助ける方法はない……ぅぅ……ぁあ……ぁあ……うぅ……辛いよぉ……[ル:]、助けてよ……痛いよぉ……苦しいよぉ……もう、嫌だぁ……ほんとに……もう……無理……』






『……[ル:]……おたがい、随分と、長く生きたな……なぁ、[:ナ]……本音を聞いてくれないか……【俺】……時々、自分が誰だったのか分からなくなるんだ……』






『辛い! 辛い! 辛い! 辛い! 辛いぃい! いぃいいいいいい!!』


『まだだ……まだ、戦える。俺は……まだ……』


『ぁああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、死にたい、死にたい、死にたい、死にたい、死にたい、死にたい死にたいシニタイシニタイシニタイ』


『お前のせいだ。【????】。お前のせいで、お前が存在したせいで、俺は! こんなに苦しんでいるんだ! お前さえいなければぁああああああ!!』


『俺の全部が死んでいくのが分かる……全ての俺が……壊れていくのがハッキリと分かる』


『……なぁ、[ル:]……俺は、まだ生きているか? 俺は、まだ、ここにいるか?』


『――まるまるかけたのに……SS級の強化アイテムのはずなのに、それなのに……存在値上昇率……たったの……六%……六パー……は、はは……ははは……はははははははは……ひっぐ……ふぐっ………ぁあ……ぅぅ……ダレか……タスけて……』


『……[ル:]、もうダメだ。無理だ。俺達じゃ……【[??]】は助けられない。もう詰んだ。終わったんだ。は、はは……ひゃはは……ひゃひゃひゃ』






『……【[??]】、ありがとう…………ありがとう……こんなに長い時が経ったのに、俺は今でも鮮明に覚えている。実は恐くてたまらなかったくせに、本当は誰よりも弱虫で泣き虫なくせに、怯えながら、震えながら、それでも俺と[ル:]の盾になってくれた君の背中を、俺は……俺は、今でもハッキリと思いだせるんだ――』






     *** ***






 暴力的な『原初の記憶』。

 メモリの大洪水。


 頭がガンガンと鳴って、

 いまだ『弱さ』がうるさく喚いていて、


 脳の中が爆発しそうで、


 けれど、

 それでも、



「……ああ……そうだ……そうだよな……」



 センエースは、

 顎をあげて、

 まっすぐに前を見て、


「こんなところで……あんなパチモンごときに……俺が……俺たちが、負けるわけねぇ」


 グンと、さらに重たい喝を魂に込めて、







「そうだろ?

  ――『ルナ』――」


「きゅぃいいいいいいいいいいいいいいい!!」








 『真名』を呼ばれて、

 センエースの携帯ドラゴン――『ルナ・センエース』――は、全力の咆哮を上げた。



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