第1000話 ここは、まだ坂の途中……
究極超神化7にたどりついたソンキーは、
あまりにも強大だった。
何がなんだか分からない。
――そういう、遠い次元。
陰すら見えない、
遠い、遠い、遠い、そんなドコか。
「――『本物の真理』は、まだ、影も見えない」
ソンキーは、
「ここは、まだ坂の途中。『辿り着いた』という感情の着地は、ただの錯覚……」
ぽつりと、
「俺は、まだ、脆弱なカケラ」
そうつぶやきながら、
厳かに、歩を進め、
「それでも、きっと、」
バグの目の前までくると、
「俺の歴史に、貴様の死を飾るくらいは出来るだろう」
ヒュッっと、小さく、口笛を吹いた。
すると、音が線になって、奇怪な粒子の陣を張る。
直後、両手に出現する、音叉のようなソードブレイド。
「――【ギルティ/チェイン:ソードスコール・ノヴァ】――」
奇妙な形状のソードブレイドを概念の軸にして、
またたくまに、メタリックな黒と銀の円が広範囲に広がって、
精緻なオーラソードが、闘神の前に整列し、深く平伏する。
厳かな金紫の鎖に縛られた剣たちは、
「穢れを背負い……陰(いん)も影(かげ)も飲み込んで……美しく……ただ、美しく」
命じられて、
歓喜の声をあげた。
ギリギリと音をたてて、時空に傷跡をつけていく。
目に見えて意気込み、高純度のオーラを捻出していく剣たち。
剣たちは思う。
神の前で踊る許可を得た。
なんという僥倖。
キンッッと、硬質な音がして、
剣は翼になる。
神の両手に魔力が集まっていく。
飛翔させた斬撃に、超電導の回転とレディエーションを込めた。
自由な遊戯。
完全なるランダム。
超新星の営業時間。
プロトコルの永久保存。
言葉がドロドロに熔解して、
点と線が自由になって、
選択肢を殺していく。
「ぎぃっっ!! ぎがぁああああああああああっっ!! うぐぃいいい! ぁああああ!」
艶(あで)やかに貫かれ、
バグの体が、裂けて燃えた。
「ぎぃいい! がぁ! 熱い! 寒い!! 苦しい! 私の全部が壊れる! もうやめろ! やめてくれ!!」
金の炎は雅(みやび)な龍となって、芸術的に荒々しくバグへと食らいつく、
「ぎぃいいいい! ひぃっ、はぁっ……ぅぎぃ……うぐぅ……」
『損傷の回復』に着手するよりも早く、
次の斬撃が、バグの体をさばいていた。
認識が追い付かない。
痛みを感じる余裕すらなかった。
「――まっ、まって――」
必死に距離を取ろうとするが、
許されるはずがない。
バグのルートはすでに決定されている。
「――ほんと、ちょっと、まっ――」
神の前で、
無様はさらせない。
「むり――勝て――」
バグを卸(おろ)していく刃の雨。
無慈悲な一手が連鎖する。
美しい絵画だった。
きわめて厳かな、神の一手。
「むりむりむりむりむりぃい!! もう、いやだ! いたい怖い、いやだ、ホントむりぃいい!」
バグが漏らす無様な悲鳴を、無慈悲に包み込み続ける剣の嵐。
所詮は、『舞い散る閃光』の外殻を模倣しただけのハンパな贋作。
センエースという最果てを正しく学習できる狂気など存在しない。
「ああぁ! いぃいい! 一分だ!! いや、10秒でいい! 私の全部を捧げる! 最後の10秒以外はすべて持っていっていい! だから! 自殺する余力を! この恐怖から逃れる力を!!」
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