第761話 15万MDPの使い道。
(この二次試験では、魔力やオーラの量よりも、『頭の使い方』や『適応能力の高さ』がモノをいう……先に潰しておきたいところだが、『どうせ、いずれは出世するであろうあいつ』を敵に回すのも得策とはいえない……)
ハルスは、いろいろと考えた結果、
(……『今の俺の状態(魔人になってしまって、暴力規制がかかっていて、スカンピン)』を考えると、冒険の書は絶対に必須……落ちる訳にはいかねぇ。となると、ここは、やはり交渉を望むべき。あいつとチームを組むってのも悪くない選択肢だ……)
『自由』が許される状態なら、絶対に選ばない道だが、今の切羽詰まった状況を突破するための『一時的な対処』として――と、ハルスは、妥協の道を探る。
妥協というと聞こえは悪いが、これは、あくまでも、
『どのルートを選択するか』という話でしかない。
(また、どこかでぶつかる事があったら、その時、声をかけてみるか……決裂するなら、まあ、それはそれで構わねぇ。俺が日和(ひよ)るのはここまでだ。これ以上の妥協はできねぇ。その境界線を超えてしまえば、俺が俺でなくなってしまう。それだけは許せねぇ)
いろいろと遠回りしながら、
結局、ハルスは、
ハルス・レアイード・セファイルメトスとしての『らしい決断』を下す。
――と、そこで、ゼンが、
「で、その15万をどう使う?」
と、ハルスに声をかけた。
その問いを受けて、ハルスは、迷いなく答える。
「お前から話を聞いた限りだと、ガチャってやつにつっこむのがベストな気がしないでもない」
そう言ったハルスに、シグレが、
「店をめぐって、掘り出しモンを探すのも悪ぅないと思うで」
スマホゲーの時は、店の商品は、ランダムで変わっていた。
基本的にはゴミアイテムしか売っていないが、たまに、レアアイテムを売っていることもあった。
もちろん、店で売っているものは、課金ガチャで当てられる強化パーツよりは劣るものばかりなのだが、費用対効果だけに焦点をあてて考えれば、実は、そこまで悪くはない。
ゼンは、そこで、
「カジノで増やすのも悪い選択肢ではないんだけどな。ルーレットがあるから、モンテカルロ法で確実に利益をあげられる」
携帯ドラゴンのカジノのルーレットは、『二倍~三倍賭けした際、通常よりも、かなり当たりやすい仕様』になっているため、特定の賭け方をすると、容易に稼げるようになっている。
ただ、2倍~3倍で賭けた場合、最大ベット額が少なくなるため、大きく稼ぐのが難しい。
それなりの『まとまったMDP』を入手しようと思うと、
一日に5~8時間くらいはプレイしないといけない。
※ これは、スマホ版に限った話だが、カジノプレイ中は、常に、大量の広告が出続けるため、かなり鬱陶しい。
「2~3倍バグがそのままなら、一日で一万~五万は稼げるぞ」
「手堅く行くつもりなん? せやったら、状況的に、カジノは効率悪ない? 時間かかるし、いくら稼いでも、カジノ用のアイテムしか買えんし」
実は、カジノで稼いだMDPで買えるのは『カジノの景品』だけであり、
『カジノで稼いだMDP(通称、CMDP)』でガチャをまわす事はできない。
――ただ、
「序盤ビルドだと、カジノ用のアイテムは必須なのが多いぞ。『サウザンドピース(携帯ドラゴンの容量が1000アップ)』とか、初期構築だと、それがあるかないかで、難易度がかなりかわってくる」
「時間的な余裕があったらエエんやけど、現状やと、カジノで時間かけとる間に、まわりはどんどん強なっていくからなぁ……」
二人の話を聞きながら、ハルスは、出そろった意見をまとめるように、
「店を回りながら、適度にガチャを引きつつ、それなりの結果が出たら、ダンジョン等にいってみて、その力を試しながらアイテム回収。もし、結果が悪ければ、いったんカジノに挑戦……って感じがベストか」
「ああ、うん、まあええんとちゃう?」
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