第8話

ーー学校

今は社会の授業中

教科担任の先生で1番嫌いな先生の授業だ

威圧的で声が大きくて、僕は結構苦手だな

……眠。今日睡眠時間4時間だから眠いんだよなぁ、

とか考えているときだった

「出てけって言ってんだろ!!!!」

…!?

突然の先生の怒鳴り声に過剰に反応する

「おら、出てけよ!!!!出てけ!!!」

何何何何何

怖い。小さい頃に親から怒られた時のことを思い出す。好きだった人が自分に失望していくあの記憶を。

嫌だ、見捨てないで。怒られないようないい子になりたいのに…なりたいのに!!!

なれない…無力なんだよ僕は…


思わず過呼吸になる。見捨てないで欲しい、失望させたくないのに。あの頃の記憶が鮮明に蘇ってくる

僕に何ができた。怒らせないために何ができた…それをしなかったから失望されて、嫌われて、今となっては親から怒られてもあまり本気で考えなくなってきた自分が醜い、

僕はダメな子。何をやっても怒られる、好きなことを辞めさせられる。

きっとそれは僕が不器用だから。

しょうがないのに…しょうがない…ことなのに…

怒られたくないと思ってしまうのは悪いことですか…?自分じゃなく周りが変わってほしいと思うのも悪いことですか……?

もう、完璧を求めることを嫌いました

誰の意思でもなく、僕の意思で。

あれ、

さっきまであんなにうるさかった呼吸音が

消えていく


ーー保健室

……あれ。

いつの間にかここに来てたんだ。保健室なんて久しぶりだな、来ないようにしてたのに

「あ、起きたねー」

養護教諭の先生がわざわざこっちに来てくれる。ごめんなさい僕のせいで、仕事増やしちゃって

「少しは落ち着いた?」

いつもみたいに笑顔で話そうとする…けど、

声が出ない…あれ、今僕笑えてるのかな…?

「…まだ少し落ち着いてないか笑」

ごめんなさい…迷惑かけていることがすっごく辛い…

「保健室来てすぐにも熱計ったんだけど、また計ってみてね」

といい、僕に体温計をくれた

ピピッ

36.8 僕にしては高い

「あ、下がったね〜来てすぐの時は37.4くらいあったから、親御さんに連絡するか迷ったんだよね」

…え

「連絡もつかないし、雨宮さんの意思も聞いてなかったなって思ってやめといたんだけどね」

一瞬緊張した心臓がまた一瞬で落ち着いたのを感じた。学校早退とかありえない。

ありえないし、なんて言われて責められるのかわかんない。

学校は唯一の憩いの場なのに

憩いの場……今は、違うかもしれないけど。

「もう少ししたら授業戻れそうかな、?」

…まだ声出せない。なんだこれ。

とりあえず首を縦に振る

「うん。それじゃあもう少し休んでていいからね」

まともな応答も出来ずに先生との会話が終わった



ーーそろそろかな

少しずつ声を出せるようになってきた

「先生、ありがとうございました」

自分で言った言葉に耳を塞ぎたくなる。うるさい、自分が発する音がダメになっているみたいだ

「ううん、大丈夫だよ。…っと、じゃあこれを今の授業中の先生に渡してね」

今はさっきの授業ではなく次の授業が始まってる時間みたいだ、今は確か…数学か。先生優しいから好きなんだよなぁ

「…はい。分かりました」

笑顔を見せる。笑えてる、ちゃんと。

「失礼しました」

はぁ。

教室、今日は戻りたくないかもなぁ

怖いなぁ、過呼吸なっちゃったあとは毎回そんな不安に襲われる。

あぁ、また呼吸が早くなってってる…落ち着け、落ち着け…

大丈夫、きっと。クラスにも信頼できる人いるだろ?茜ほどじゃないとしても。

茜、

「こういう時に会いたくなるの…ほんと、嫌だな…」

茜に会いたい、好き。って今度会った時に思いっきり言って思いっきり甘えたい

だから…まずは今日を笑顔で乗り切らないと

『ー笑ってー』

…もちろん。笑うさ


元気を装い、クラスのドアを開けた。

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