勇者の推しCPは魔王✕姫です
ゆーさん、
第1話 勇者の仕事は推しCPを見守ることです
100年も前から俺の住むバーム国は北にある魔王軍と対立をし続けていた。壮大な魔力をもつ魔王軍だかバーム国は100年間それに対抗することができた。なぜ対抗できたか?それには「勇者」の存在が大きかった。
勇者は唯一魔王に対抗する力を持つと言われ、その力は代々引き継がれていった。
そして現在、その勇者の力を持っているのが俺、ディルク・ロッドである。
俺は力を私利私欲に使わず、国の平和のために魔王軍を倒し続ける正義の象徴____
表向きではそうなっている。誰も知らない俺の裏の顔は………………
「ディルク〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
「今日はなんだ?ザムザ」
「まずな、俺はいつものように魔鴉を使ってコティリアを見守っていたんだが今日は花の冠を作っていてな、小さく可愛らしい指で花を編んでいく姿だけでもう愛くるしいのだか問題はその後だ!あいつの周りに幼子達がよってきて自分で作った冠をあげていたのだ!しかも無償で!!いや、優しすぎんか??聖母だろあんなん。まじで女神の生まれ変わり説あるぞ。でな、幼子達が喜ぶ姿をみてあいつも微笑んでいたんだか幼子が帰っていき、また一人になった時ポツリと、「お父様に上げたかったんだけどな…」と、まじで、もう、泣きそうになった。なったというかもう泣いたんだけど。だって自分が欲しいのを我慢して子供にあげるし、しかもお父様にあげるって健気の塊だろもう。どんだけなんだよよくばりセットだよ!まじで可愛い、超可愛い、好き、まじでもう〜〜〜〜〜〜大好き可愛い!それで城に帰った時に、」
「長い長い長い、簡潔に言って」
「コティリア姫が可愛すぎてやばい」
「それいつも言ってるな」
長々と語りかけていたコイツはザムザ。魔王である。恐ろしい魔族を従え、強力な魔法を操る宿敵なのだが…俺はこいつの相談役である。しかも恋の。
「あの場面で、俺が「じゃあ俺がお前にやるよ、花よりも綺麗な王冠をな」とか言えたらいいのになぁぁ〜〜〜ああーー俺も勇者になりたい!姫に好かれたい!結婚したい!!」
「魔王が勇者になりたいとか初めて聞いた。そんなに会いたいなら魔王やめて会いに行けよ」
「いや無理だろ〜、だって部下がめっちゃ早くバーム国を魔王様のものにしましょうって筋トレ頑張ってるし。この前もお前にやられたけどこの痛みが俺を強くするって自分を奮い立たせてたし」
「あ、なんかごめん。この前新しい攻撃魔法覚えたから試したくて思ったより威力やばかった」
「国じゃなくて姫をものにするのなら大歓迎だけどさ、俺が魔王を降りるのなんて無理だよ、そして魔王である俺が国の姫と恋仲になるなんてもってのほか…叶わぬ夢なんだうぅ、」
そう言ってザムザは泣き崩れていった。ちなみに、このやり取りはもう何百回か見たのでスルー。
こいつが惚れているのはバーム国の姫、コティリア・バーム。心優しく可憐で国中の誰からも愛されているお人だ。そして、その魅力は魔王まで届いてた。なぜ惚れたのかザムザは教えてはくれないが見て分かるようにかなりの姫ガチ恋勢である。
しかし、ザムザが言うように魔王が姫を好きになるなど前代未聞だ。この恋が叶うはずがない。
「とりあえず俺はもう帰るな、そろそろ国に戻んないと怪しまれるし」
「もう帰るのか?まだコティリア姫の可愛いエピソード58なのに」
「それいくつあるんだ?」
「982」
「帰る」
魔王の城を出て俺が向かったのはバーム国の城。その中にある教会に行くと中には一人の少女が祈りを捧げていた。その少女こそがコティリア姫。白くふわふわとした長い髪は光のもとだとキラキラと輝き、碧色の瞳はどのサファイアよりも美しい。心優しいコティリア姫は毎日教会に足を運び、一刻も早く国の平和が訪れるよう祈りを捧げて…………
「おぉ神よ、私は罪を犯しました。昨晩、私は魔王様とお花畑で一緒にお散歩する夢を見てしまいました。魔王様の黒く艷やかなな髪の上に私が作った花を冠をのせてあげました。そしたら「魔王様はお礼をしなければな」と言って私の額に唇を………そのところで目が覚めてしまいました。それだけでも重罪なのに、私はもしかしたらと思ってお花畑に行って魔王様のために冠を作ってしまいました!途中で子供たちがきてあげてしまいましたが姫である私が魔王様の夢を見るだけでなく会えないかと邪な考えを持ってしまったなんて……どうか、どうかお許しください」
「あー、姫様?」
「ぴぎゃ!!!??あ、勇者様!」
「また教会で懺悔していたんですね」
「うぅ、お恥ずかしい所をお見せしてすみません!今日は魔王様の夢を見てしまって」
「この前は黒猫をみて魔王様を思い出して、その前は苺を食べた時魔王様と食べる妄想をしたんでしたっけ?」
「言わないで下さい!!はぁ…私ってばこんなに魔王様のことを考えてばかりで」
また魔王を思い出したのかコティリア姫は顔をリンゴように赤くしてしまった。このコティリア姫、実は魔王であるザムザが気になって気になってしょうがないのである。
そう、魔王と姫、実は互いのことが好きで互いがそれを知らない両片思いなのだ!!!
「魔王様………って勇者様!?」
そしてそんな二人を見て俺は
「口から血が!!大丈夫ですか!?」
「ごぶっっ!大丈夫です、ちょっと尊すぎて…」
「え?なんて」
「いえ、なんでもないです!」
完全にこの二人のCPのオタクとなり、毎日多大なる公式供給をもらって血反吐を吐いている。
魔王✕姫が叶わないなんて誰が言ったか。俺は、生涯この二人を見守ることを勇者としての使命とすることをここに誓います。
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