第3話 プロローグ3―――日露戦争と聯合艦隊【爆焔】

次に日本を襲ったのは、ロシア帝国であった。

1894年(明治27年)4月、ロシアは清国救済を掲げて大日本皇国へ宣戦を布告した。しかしその実は清国の焼き尽くされた大地を見て、海軍軍事力が自国よりも弱い大日本皇国を叩いて本国に攻め入り、降伏させようという魂胆であった、と後に皇帝本人が語っている。

史実では大日本帝国の艦艇が当時艦隊としての力が世界に名を馳せていたロシア帝国を打ち負かしていたそうだが、現実では神国三牢が更なる兵器を投入したことにより即撃滅の憂い目を見た。


神国三牢、聯合艦隊【爆焔】。神人が四『是露』が率いた大艦隊で、すべての艦艇が猩々緋に染められ、装甲も5mm程度の紙装甲ながら均質圧延鋼板で800mmにも相当する硬さを誇った。旗艦である『爆焔』は大口径で敵艦を撃滅し、史実に存在したという『大和』などに見られる大艦巨砲主義が大日本皇国内に広がった海戦であった。

以下、艦隊内実。


聯合艦隊【爆焔】

第一戦艦隊


戦艦:爆焔(艦隊旗艦)、極焔(爆焔型二番艦)

重巡洋艦:蒼月(蒼月型重巡洋艦一番艦)、翠月(蒼月型重巡洋艦二番艦)、緑月(蒼月型重巡洋艦三番艦)

装甲巡洋艦:藍、蘭、菫

快速水雷艦:霜月、下野、草月、燐


第二戦艦隊


戦艦:戀焔(爆焔型三番艦、第二戦艦隊旗艦)、煌焔(爆焔型四番艦)

重巡洋艦:哀月(蒼月型重巡洋艦四番艦)、千月(蒼月型重巡洋艦五番艦)

装甲巡洋艦:千早、菊月、千代


第一巡洋艦隊


軽巡洋艦:嵐(旗艦)、御琴、輪廻、桜庭

駆逐艦:島陰、荒木、往田


第二巡洋艦隊


重巡洋艦:朧月(蒼月型重巡洋艦六番艦、旗艦)

軽巡洋艦:郁浪、高良、咲那

駆逐艦:島風、雪風、矢絣


潜水艦:朧、悠、戀、燐、繪、桐、禍


補助艦:33隻



爆焔型戦艦


作成:神国三牢、神人『是露』

コンセプト:『旭日』

全長:379m

全幅:52.3m

吃水:14.3m

動力:魔力式自律双環縮退炉

排水量:76000トン(通常)、91243トン(満載)

速力:37ノット(公試)、41.2ノット(最大)

持続走行距離:最大速力:∞(正確には、双環縮退炉が圧縮爆散するまでの無限に等しい時間)

装甲:全体緋鋼15mm(神人の鋼で、生成不可。均質圧延鋼板で2400mmに相当)

兵装:

主砲:55口径51cm3連装砲14基(前方6基左右側面各2基後方4基)

副砲:35口径31cm2連装砲12基(前方2基左右側面各4基後方2基)

40口径15.5cm2連装砲16基(前方6基左右側面各3基後方4基)

20mm13連装機銃36基

17mm対空機銃18基

14mm対空機関砲24基

3連装魚雷発射管24基

対戦艦マルチミサイルポッド12×4×6基

対空防御自動制御式41mm機関砲6基(艦橋付近に配置)

後付け:無線機、光学照準器、測距儀、滞空防御機関砲に代わって重粒子収束共振動砲(リフェーザー砲)8門、艦首中央魔力砲(主に爆裂魔術)


対空機銃や対空機関砲など、当時の歴史では一切意味のないと思われる兵装は、『至近弾防御・命中予測弾の破壊及び命中場所の変更のため』とされていたが、1937年に始まった『全世界統一戦争』、旧名『第二次世界大戦』のころに海上戦闘が主に航空機による爆撃になった頃には各国が対空能力を重要視するようになったと言う。

動力に使われている魔力式自律双環縮退炉は、左右に小さな球が取り付いているのを金属が覆っていて、小球を管が結んでいる形をしていて、爆焔型戦艦に元来取り付けられている極小骸石を用いることによりエネルギーを発生させ、左側の第一炉がエネルギーを生み出して右側の第二炉へエネルギーを送り、第二炉が再びエネルギーを生み出して...という無限ループから一定以上の出力を越えた余剰エネルギーが戦艦に供給される仕組みで、一定以上のエネルギーを蓄えると爆焔型戦艦を中心に魔力が漏れ出ていくと言う仕組みになっており、後の海戦ではこの仕組みが圧勝の原因の一つとなった。


ロシア帝国は流氷が減少した5月に艦隊を北極圏を通って送り、大日本皇国の北部に位置する北海道東部につながるカムチャツカ半島と千島列島の近海の何処かを決戦の地として対艦戦闘用意をしていた。史実の、しかも10年後の日露戦争のロシア海軍(バルチック艦隊)とは大幅に異なり13000トンクラスの戦艦が7隻、9000トンクラスの重巡洋艦13隻などからなる大艦隊で、補助艦等も含めると総計153隻からなる大艦隊だった。

1890年の、たった10日の日清戦争を知っているからだろうか、1890年当時に艦艇が50隻程度しかなかったことを想えば、大日本皇国を警戒して貧弱だろう大日本皇国海軍を撃滅せんとする彼らの意気込みは大きかったことだろう。


当時の砲撃の最大距離は、おおよそ15㎞程度だと言われている。水平線もおおよそ20㎞程でようやく艦首が見えるかどうかという程度の距離であるから、当然彼らにすればいまだ見えない敵艦なのである。

しかし、その距離ほどになって唐突に砲兵が将官のいる部屋に突入し、将官を射殺した。同様の事態は他の艦でも行われており、挙句彼等は同士討ちを始めた。

一部のまともな艦は5分程の後に爆焔型戦艦による大口径の砲撃によって近隣の艦艇諸共爆散、至近弾を受けたものも軽巡洋艦までなら転覆、それ以上でも上部甲板までの高さを持った波によって浸水・兵器の使用不良を引き起こした。


更に13分後には爆焔型戦艦4隻が堂々と現れ、前方に搭載された有効砲撃20基52門×4、総計208門もの大斉射によって僅か2分でロシアバルチック艦隊は全滅、その後は追いついた他の艦隊たちによる逆バルチック艦隊作戦を敢行し、当時の首都であるペテルブルク(現在のサンクトペテルブルク)へ戦艦・巡洋艦計23隻562基1406門による蹂躙斉射の後寄港し、艦砲射撃により破壊されつくしたペテルブルクの街を護送戦車として性能を度外視し外面にこだわった特別品の戦車(と言っても、対人・対軽装甲には異常なほどの能力を持つ)『チヨMk.2 54式護送戦車』によって護送された明治天皇と神人が四『是露』によってアレクサンドル3世は大日本皇国への敗北を宣言し、全戦線での戦闘行動の停止を命令した(と言っても、その戦闘行動を行う兵は既に鉄蜘蛛によって全滅させられているのだが)。


同年6月23日、現地時間午後2時13分(日本時間午後8時13分)にペテルブルク条約が結ばれ、アレクサンドル三世を最後に帝政を終える事や一律税率の導入、シベリアの大日本皇国への編入、そしてロシア帝国の賠償金800万ルーブル(日本円の為替は高騰しており、これでも現在の5億円程度である)が決められた。当然賠償金は6:4で神国三牢と大日本皇国に分配され、大日本皇国領土がさらに増加する結果となった。


※史実の大日本帝国に現れる名前が駆逐艦にある気がしますが、まあそこらへんは本編にすら関係ないのでお気になさらず。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る