歪んでいるのは世界か私達か

@aosoraharewataru0920

僕らの望んだ世界へ


今日は俺と雨美里(うみり)が、付き合って8年が経つ。付き合ったのは22歳の時で、最初はお互い本気にしていなかった。しかし高校卒業して3年が経った頃に久々に出会い、1年で付き合うことになった。周りは「あんな人と付き合えて羨ましい」と囃し立てたが、どうせ嘘だ。後退りして、苦笑しながら言ってるのだから。しかし、そんな中でも雨美里は

「もう!私のこと本当に好きじゃないの?」と言う、付き合ってから2年経ったある日、

「もし……まだ私のことが好きだったら結婚してくれませんか?」とプロポーズされた。

最初はからかわれているのかと思った。けどあいつの目を見ると本気だとわかり、OKをした。

とは言いつつもまだ結婚できていない。多分これからも。

休日は一緒にゲームしたり、映画をみたりしたし、デートもした。ただ、手を繋いだりキスをしたりなどは、まだしていない。

そんなこと人前でする勇気もない。

いや別に人前じゃなくてもいいのか。だが、そんな勇気も中々出せない。

今日こそは、と意気込むが現実はそう上手くいかない。

本当は色々な事をもっとしたいし、結婚もしたい。

「よし行くか。」

「うんっ!」

元気よく返事をした雨美里と8年記念日で向かうのは、水平線が辺り一面に広がる景勝地だ。恋人の聖地とも言われてるらしい。

「なかなか遠いね~」

「そうだな。俺が運転してるし、寝ててもいいからな。」

「えぇ!嫌だよ。せっかくだし、お話しようよ!」

「仕方ないな。」

「まさか今日を選ぶなんて思わなかったよ~」

そんなことをいいながら雨美里は寂しそうに笑う。

「いや、今日しかないだろ。お前の誕生日でもあるし、さ?」

「…覚えていてくれたんだね。」

雨美里はさっきとは違い少し嬉しそうに笑ってくれた。

だからこそ、今日こそは絶対に決めなきゃいけない。

そんなことを話ながら車を走らせ約5時間やっとついた。

そこはとても綺麗な景色だった。海は透き通るように青く、空も雲ひとつない快晴。

「綺麗……」

雨美里は目をキラキラさせ、海を見つめている。

「だな。」

俺はそんな雨美里をずっと見ていた。この景色よりも雨美里の方が綺麗だと思ったからだ。

「ねぇ!写真撮ろうよ!」

俺が見とれていると、雨美里がそう提案してくる。「わかった。」

俺はスマホを取りだし、インカメで写真撮ろうとした時、雨美里は嬉しそうに笑いながらこう言ってきた。

「私が撮ってあげる!はい!もっとこっち来て!」

そんな雨美里にドキッとしながらも、言われるがまま近づく。

「はい!チーズ!」

カシャっという音と共に写真を撮った。その写真を見てみると、2人とも笑顔でとても幸せそうだった。この写真は一生の宝物だ。そしてこの笑顔も。

「いいねぇ~これを国のお偉いさんにも見て欲しいよ!」

「大袈裟な」

俺は苦笑した。「大袈裟じゃないよ!だってこの写真は私とあなたの思い出だもん!」

雨美里は嬉しそうに笑った。その笑顔を見て俺は決心する。

「なぁ、雨美里。」

「何?」

俺はポケットから指輪を取り出し、雨美里の左手薬指にはめた。そしてこう言ったのだ。

「俺とずっと一緒に居てくれませんか?」

そうすると雨美里は目に涙を浮かべて頷いた。

「来世は男女として会おうね?」

「もちろん、こんな世界捨てて飛び込んでいこう。俺らのセカイへ」

そう言って抱き締めて僕らの望んだセカイへ飛び込んでいった。

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