四九学園の恐怖研究クラブ

ペル

プロローグ ウェルカムは塩の味

あなたは ある 放課後 の 教室 で 目を 覚ました

周りには生徒も教員も居ないようだ

セミの声があなたの脳を震わせる

そういえば、今は夏だった、とあなたは 思考を巡らせるだろう

ほの暗くそれでいて夕焼けに赤く照らされた教室あなたは 懐かしいと感じていたがセミの声が鮮明に聴こえ少し恐ろしくなってしまった

あなたは 早く教室を出てしまおうと思ったんだ

下校しなくては あなたは 教室のドアをガラガラと開ける

そして閉めると、赤く照らされた廊下に出た

また人っ子一人居ないけど安心して

ほら、非常口の明かりがカーテンで陽の光が遮られ暗闇になっている廊下の先を照らしているよ

あなたは少し怖がりながら非常口の方へ向かうよ

だって、あなたが いた教室は端っこだもんね

一方通行だったんだ

あなたは 少し進んだ所でスマホでこの暗がりを打破しようと考えるよ

科学は 心霊的な恐怖を 打ち負かしてしまうからね

だから今の時代 怖い話がすっかり廃れてしまったんじゃないかな

話を戻すとあなたはスマホで廊下の先を照らした

特に何かが起きている訳でもない廊下が照らし出されたよ

あなたは何もないことが分かって少しだけ安心したんじゃないかな

あなたは恐る恐る廊下を進んでいく

でもあなたはふとセミの声が全くしないことに気づいてしまったんだ

セミは一斉に飛び立ってしまったのかな?

セミは一斉に死んでしまったのかな?

あなたは不安に襲われるんだ

あなたの足は少しだけ、少しずつ加速していくよ

だいぶ早足になった頃にようやく曲がり角にたどり着いたよ

そして曲がり角直前で足を止めてしまった

あなたはある部屋に釘付けになってしまったんだ

我慢出来なくなって立て付けの悪いドアを両手で開ける

なんで開けたくなったかって?

そういう設定だから…とかかな

扉を開けると何故か目の前には黒い壁がある

でも薄い 中の様子が透けて見える

あなたはそのまま歩いてこの黒い壁…というより膜を突破しようとした

手に膜がふれる

膜は簡単に破れ、中から部屋に充満する生暖かい夏特有の太陽に温められた空気がなだれ込んできたのだった

そしてその空気と同時に白い何かがあなたの視界に飛び込んでくる

これは…塩だ!

「やあ、新入部員かなそれとも幽霊? 塩が効かないんなら幽霊では無さそうだ」

あなたは窓から入ってくる太陽が眩しくて部屋の中にあるものを認識出来なかった

気づけば あなたの目の前には7人の男女が座っていたんだ

その中でも目の前の男子があなたに話しかけているよ

あなたは あなたなら何を返せばいいか分かるんじゃないかな

「新入部員です」

その言葉は塩を投げつけた無礼を罵る言葉でも否定する言葉でもなく脳内でその言葉の意味を噛んで咀嚼する前にあなたの口から勝手に零れ出た返事

彼らはあなたを気に入ったようだ

さあ君の前の席が空いているよ

「座って」

君の隣にいる女の子がそう促した

君は下校という目的をすっかり忘れてしまったみたいだ

「さて…なんの話をしようか」

あなたの目の前にいる男子はそう言うとニヤッと笑った



「現実復帰プログラム…認証コード…0000001………個体識別番号Earth jp44444499」

…………目を開けた…

覚醒した。私はあるポッドの中で横たわっていて

ウィーンとひとりでに開いたポッドから出ると隣には友人が座っていた。

「どうだった!?僕の力作だぞ〜」

私の意識はポヤポヤしたままだった。何も考えられない………

「…ん?ああ…このReal0最大の弱点が出てしまったか…」

「おーーい、あなたは響尾 誠子おとお せいこだよ。ここは23世紀でぇあなたは今宇宙船にいるよ?僕と50年ツアーパック 地球〜人工星ニンフ〜アルカスで旅行に来てるんだ。僕は藤咲 見影ふじさき みかげ完全現実体験型ゲーム Real0を開発者なんだよ。君はホラー好きでねそして学校に通っていた頃が懐かしいと言っていたからそれを組み合わせたゲームを作ったんだ」

…ああ。そうだった

私はホラーゲームを体験していたんだった

「まだプロローグだけどね。僕プロのシナリオライターじゃあないからさぁ…丁寧な導入なんて出来ないよ」

「確かに下校途中に衝突に謎の部活に入部ってのは不自然かもしれないね」

「うるさいうるさーい!」

見影が怒る。

「でも、作ってくれてありがとう見影」

私がそう言うと彼女はドヤ顔で上機嫌そうにスキップしながら何処かに行ってしまった。

そしてしばらくすると2人分の何か…を持ってきた

「ほらほら続きだよ早く続きを体験してよ」

見影は私を強引にポッドに押し込んだ

そして、私の口に何かを押し込む

「も、もごぉ!?」

口の中に何か液体がなだれ込んできた!

しゅわしゅわしてる…

「どう?私が開発したおしゃぶり型自動液体搬送器は?」

「も、もごごご?」

「あっちなみに今響尾が飲んでるのは塩サイダーだよ?ウェルカムドリンクさ。ほら大昔の日本だと幽霊には塩が効くって信じられていた。って聞いたことがあるぞ」

私は今おしゃぶりをしゃぶっているのか…

なんて間抜けな絵面なんだ…と思いながら私の意識は暗闇へ落ちていった








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