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まめまきが外にでると世界は真っ暗だった。
……気温はまるで冬のように寒かった。試しにはぁーと息を吐いてみると、まめまきの吐く息は雪のように真っ白になった。
まめまきの自慢の引き締まった(十五歳のまだまだ成長途中の)体の形がはっきりとわかるような(胸やお尻のあたりには薄い装甲のようなものがついている)ぴっちりとした黒の手首や胸元、腰回りなどに幾何学模様のあるスパイ服をまめまきはきている。(00というコードナンバーが桃色の数字で肩のところと首の後ろに書かれている)それはスパイの仕事をするときにいつもまめまきがきているまめまきのために作られている特殊な戦闘服だった。(寒さもある程度はしのげる)
真っ暗な闇と同化するようにまめまきの姿は(まだ幼さの残っている)綺麗な顔以外は見えなくなった。
外が暗いことは予想通りだったので、まめまきは用意していたペンの形をした銀色の手持ちライトの明かりをつけた。
まめまきがUFOの周りをぐるりと回って、自慢の美しい胡桃色をした(お気に入りの)赤いりぼんで結んだポニーテールの(ふわふわした)髪を揺らせながら、墜落の様子を確認していると、ふと、天上に輝く一つの星の光を見つけた。
……あれはなんだろう?
まめまきは一瞬、その光がなんなのか理解できなかった。星の見えない地下の闇の中に光る一つの星。
その星の光の正体が、少し前に、自分がこの地下の空間にやってくるために、強引に開けた『地上の砂漠の大地の穴』からこぼれ落ちている光であることに、数秒後に、まめまきは気がついた。
その光は、本当に地上で見る星の光にそっくりだった。
地上は磁気嵐の真っ只中のはずなのに、地下には光が届いている。もう砂漠では磁気嵐は去ってしまったのだろうか?
(時間的にそんなはずはないのだけど、そうとしか思えないくらいに星は力強く輝いていた)
嵐の地上に、あれだけの輝く光があるとは思えなかったのだけど、この地下世界の大地から見上げる砂漠の大地の穴から、こぼれ落ちる光には、美しい星の光の輝きがあった。
まめまきは地下のごつごつした岩の地面の上に体育座りで座ると、そこからじっと、その天上に輝く一つの星の光を眺めた。
それは、本当に、本当に美しい、まるで宝石のような輝きをした、光だった。
……まめまきの目はその光に釘付けになった。
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