2 愛は現象である。
愛は現象である。
胡桃まめまき
やみやみ。真っ暗闇。
砂漠にはよく星が落っこちる。今日もいくつかの星が砂漠の上に落下した。それは小さな星。砂漠に小さなクレーターを作るだけで、朝になればその穴は風によって運ばれた周囲の砂によってその痕跡を消されてしまう。それはいつもの夜の砂漠の風景だった。でも、その日の星は少しだけ違っていた。
一つの輝く流星が真っ逆さまに砂漠に向かって落っこちていく。それはとても速い速度だ。星は光を放っている。白い光は星の尾を引いている。まるで意思を持っているかのように躊躇がない。星はそのまま砂漠の上に落っこちる。すごい音がして砂が爆発する。その星はそのまま大地を貫通する。星は星である形をとどめたまま、砂漠という大地を突き抜けた。それは、『本来ならありえないこと』だった。でも実際に星は大地を貫通した。砂漠には小さな穴が確かに空いていた。砂漠の下には広大な空洞の空間があった。空にある明るい夜ではなく、真っ暗な深淵のような夜の空間がその空洞の中には広がっていた。星は真っ暗な夜の中をそのまま落下し続けた。しかしその速度はとても遅くなっている。輝く光も弱くなり、尾を引く白い光も消滅している。光が弱くなり、星はその正体を夜の中で明らかにしている。
それは一つの宇宙船だった。丸い形をした円板型の宇宙船。星は自然の星ではなかった。それは人の手によって生み出された人工の乗り物だった。その宇宙船には名前があった。その名前を『みちびき』と言った。みちびきの中には一人の乗組員がいる。みちびきの所有者でありパイロットでもあるその人物はみちびきの操縦席に座って悪戦苦闘をしていた。その顔は、やってしまった、という顔をしている。
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