この世界は生きるのが辛い

@gurenn1950

生きにくい世の中

 この世界はとても生きにくい。

 そう思わなかった人はいないか?

 俺は毎日思う。

 

 別に家族に恵まれてないとか、友達がいないとか、家が貧乏だとかそういうわけではない。


 ただなぜか……この世界で生きるのが辛いと思ってしまう。


 君は……どう思う?


<>


 カタカタカタカタ。

 キーボードを指で叩く音が部屋の中で響く。

 パソコンを操作しているのは若い男—――小森紅一こもりこういち

 彼は今、ネット小説を書いている。


「よし…できた」


 オリジナル小説を書いた紅一は早速、投稿する。


「さて……今日はどれぐらいの人が見てくれるかな」


 少し楽しみな気持ちを抱きながら、パソコンを閉じる。

 小説を書き終えた紅一は背伸びをし、フゥーと息を吐く。


「小説は書き終わったし……少し漫画を読もうかな。いや、ここはアニメ鑑賞でもするべきか……」


 顎に手を当てて、悩む紅一。


 小森紅一。

 性別は男。年齢は23歳。

 趣味はゲームとアニメ鑑賞、ネット小説投稿。好きなものはアニメと漫画、ライトノベル。

 特にイケメンではなく、だからといってブサイクではない普通の男。

 仕事はしていない。…今は無職だ。

 

「よし。まずアニメを見て、そのあとお菓子を食べながら漫画を読もう」


 そう言って彼はリモコンでテレビの電源を入れ、録画していたアニメを見る。

 テレビ画面に流れるアニメ映像。

 それを見ながら、紅一は呟く。


「……羨ましいな」


 今、見ているアニメはモンスターと激しい戦闘を行う少年少女達の物語。

 その物語に登場する主人公達は紅一から見たら、輝いていた。

 

 カッコよく活躍する彼らを見て、紅一は羨ましいと思わずにはいられなかった。


「俺もアニメの世界で活躍したいな」

 

 紅一はアニメが好き。

 そしてその世界に行きたいと望まずにはいられなかった。

 ラブコメ系のアニメのような甘酸っぱい青春が送りたい。

 バトル系のアニメのような熱い戦いをしたい。

 転生系のアニメのような異世界転生して、チート能力で無双したい。


 したい。したい。したい。


 活躍がしたい。

 そう願わずにはいられなかった。


「……生きにくいんだよな。この世界は」


 紅一は本気でそう思っていた。

 別に家族に恵まれていないわけじゃない。

 金に困っているわけでもない。

 住んでいる国も平和な日本。

 家族にも恵まれ、趣味を楽しむぐらいのお金はあり、ご飯も食べられている。

 幸せ者と言ってもいいぐらいだ。


 だが、彼はこう思ってしまう。


 この世は生きにくいと。


 恵まれているのになぜか息苦しくって、不満がないのに生きてるのが辛くって……長生きしたくないと思ってしまう。

 

「……マジで嫌になるな」


 別に紅一は死にたいとは思っていない。

 だが長生きがしたいわけではない。

 長生きしたっていいことあるのか?

 彼女ができない自分に生きる意味はあるのか?

 そう思ってしまう。

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