惑星割り人形

風若シオン

第1話 晴れときどきゴーレム

「そこのあなた助けてくれるとうれしいんだよぉぉぉー!!!!!」

いきなり晴天の空から女の子が降ってきたら、どうしますか。

―見捨てる。

―身を呈して受ける。

―魔法で助ける。◀えらぶ

「『衝撃吸収エアバッグ』」

カバン片手に通学途中、あくびを噛み殺しきる前に呪を紡ぐ。

透明な神通力が空に向かって広がり、降ってきたその、……スク水銀髪ショート碧眼少女を受け止める。

着地してそのままべちょっとその少女は倒れ込む。

なんじゃこいつ、令和日本区画グリッドより平成日本区画グリッドのアキバにいそうなコスプレイヤー、と言ってしまうには欧州人感がある。

「お人形さんみたいだな…可愛いけど不審者には違いない、『思念疎通ケータイデンワー』、警さ…」

「待ってなんだよぉ!!」

「おわっ!?」

がばちょっ、と地面から起き上がり彼女はその勢いのままにまくしたてる。

「あたしはがぶりえーるなんだよぉ!ドナドナされたくなかったからね、ほうおー?から飛び出して逃げてきたの!」

ほうおー…鳳凰?警察が導入した最新鋭航空機がそんな名前だったか。

でもあれ要神専用じゃ…

こんなちんちくりんが乗っててしかも、逃げてきた…?

やっぱり怪しすぎる通報しねーと…

「『思念そ、ぶぼるぶげっ!?『衝撃吸収エアバッグ』!!」

ぶん殴られた。

さっきといい識呪率の高いこの区画だから良かったもののエアバッグ使えなかったらどうするつもりだったんだか…こいつヤバい奴だ、しかも多分、僕が近付いたらダメなタイプの。

「だから待つんだよ!!話を聞いて欲しいんだよ!!」

ぜぇぜぇ、びょいーん。

吹っ飛ばされた僕のところへひとっとび。

動けないでいる僕の首筋に、柔らかな指先がぷにっと触れる。

「ゴートーなんだよ。さっさと君の家に連れてくんだよ、かくまってもらおーか。」

あぁ、神様。ヒトは神になっても罪を犯すようです。黙って見てないで助けやがれカミサマ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る