【200字小説短編集】小さく灯る

お題【死者の両生類】、【災いを招く】、【斎庭】

斎庭に蛙が迷い込んできた。死者の魂は両生類の姿をとってやってくるのだ。

殺してはいけない。災いを招くから。けれど、どれだけ親しい者の魂だとしても、触れ合ってはいけない。死者の両生類は仲間を増やしたがるから。

わかっていたけれど、私はその蛙を捕まえて自分の部屋にそっと隠して閉じ込めた。きっとそれが彼の魂だとわかっていたから。離れたくなかったから。

私は部屋の中で掌に乗せた蛙と見つめ合う。