お題【純白の音】、【消えゆく】、【入り江】
入り江に、波の音に混ざって──いや、波音を伴奏にするかのように、純白の音が響いていた。美しい歌声だった。
こんなに美しく純粋な歌声が出せるなんて、きっと人ではない。そうわかっていたのに、その正体を知りたいと思ってしまった。
入り江の先に、美しい人魚がいた。ああ、音が途切れ──人魚はこちらを見て、そしてその姿は波間に消えゆく。
その姿を追うのをやめられない。追いかけて、海に飛び込んだ。
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