お題【代々受け継がれた魚】、【足取りの途絶えた月】、【かどわかす】

その日、いつものように月が昇ってこなかった。足取りの途絶えた月を探せばどうやらかどわかされたらしい。

庭の池にも月は映らない。代々受け継がれた魚にその理由を話せば、魚はしばらく考え込んだ。

「はるか昔にもそんなことはあった。なあに、何日か待てば戻ってくるさ」

「月は大丈夫なの?」

「太陽が月に求婚してるんだ。今回も月は頷かないだろうね」

そう言って魚は月のない水面を跳ねた。

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