【200字小説短編集】小さく灯る

お題【死者の枷】、【災い】、【娶せる】

たくさんの死者が出た。大きな災いがあったのだ。死者の国の王は死者たちをみんな連れていった。自分が死んだと気付かぬ者には死者の枷をつけて牢屋に入れた。

けれどあまりに死者が多かった。牢屋はいっぱいになってしまった。この者たちに自分が死んでいると気付かせなければならない。

春風の娘を呼んで牢屋の管理番に娶らせた。娘が生の気配を風で運んでくる。

風に当たった死者たちは皆、静かに朽ちていった。