お題【死者を蘇らせる霊】、【仮初の故郷】、【食べる】

全てを失った俺の前に現れたのは死者を甦らせる霊だった。元通りを望んだ俺に霊が言う。

「目の前にあるのは仮初の故郷。食べ物を口にしてはいけない」

それでも良いと望んだのは俺。

懐かしい景色に懐かしい人たち。幼馴染が俺の手を引く。いつもの裏山で村を見下ろしながら果実を分け合う。

幼馴染が差し出す果物を俺は食べる。

禁忌などもうどうでも良かった。この幻にずっと囚われていたい。そう思っていた。

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