お題【朽ちた本】、【夢の樹海】、【かどわかす】

夢で人をかどわかす妖精がいるとは聞いていた。けれどまさか自分がそうなるとは。

夢の樹海は鬱蒼と、立ち入りを拒むかのようだった。それでもここから出るためにはぼうっとしていてはいけない。

木の根や蔦が絡んで苔むす地面を歩き出す。自分がどこにいるかもわからない。

やがて、誰かがいた形跡を見つけた。人の姿はない。焚き火の跡、その近くには空っぽの缶詰。それから朽ちた本。

そっと手に取れば本は崩れ去った。

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