お題【私の鏡】、【婚礼】、【地の底】

私は地の底へ嫁ぐ。婚礼の儀で初めて会った旦那様は鋭い目つきで私を睨んできて、正直恐ろしかった。

旦那様が私の顔を覗き込む。

「地の底へは何も持っていけない」

私は懐からそっと手鏡を出した。私の鏡。

「これは母の形見なのです」

私の声は震えていた。旦那様は細長い指で私の手から鏡を取り上げる。

「これは俺の物だ、いいね」

ぽかんと見上げる私に、旦那様は笑う。

「君への初めての贈り物だ」

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