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 少年は旅立つ前に一枚の絵を描き上げた。

 それは澄み渡る青空の絵だ。

 彼は幼い頃から絵を描くのが好きで、特に青空を題材にすることが多かった。

 ただ絵を描くことができれば少年はそれで満足だったが、周囲の者たちは彼の絵に難癖なんくせを付けたがった。「空の青さはもっとこう」だとか「こんな不気味な空は見たことがない」だとか皆が彼の絵を否定した。

 だから彼には確信があった。

「この絵と同じ絵を持つ相手ならきっとしんの意味で僕を理解してくれるに違いない」と。

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