【詩】嘘


嘘をつくごとに

道徳というものが

嘘を否定する

しかし

幾何かの命に

道徳は役に立たないだろう

役に立つのは

現実を惑わす嘘


現実世界は

道徳の美を私に押し付ける

けれど

最期は

私の命が終わる最期の日には

道徳よりも

もっと美しい嘘を

ついてほしい


空っぽの言葉を

つなぎ合わせて

揺るぎない正論を唱える

意味はないけれど

それは

私の心の支えになる


嘘のような現実を

現実のような嘘を

私はもう

区別はできないから

分解して

溶かして

純粋な物質として

ろ過しよう


ダイヤモンドみたいに

輝く嘘

そういう嘘を

待っているんだよ



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